「クラウンCMコレクション」記念の連載もいよいよ大詰めとなりました。その前にクラウン系列(簡単に記述)以外のトヨタの最近の高級車事情です。
昭和61年末の時点で販売されていたトヨタの高級車
・初代センチュリー(昭和57年にビッグマイナーチェンジを図っている)
・7代目クラウン
・5代目マークII/3代目チェイサー/2代目クレスタ
昭和62年
秋
・8代目クラウン
他
・昭和61年にモデルチェンジされた3代目カムリに,V6エンジン搭載の「プロミネント」が追加される。双子車のビスタには用意されず。
昭和63年
秋
・6代目マークII/4代目チェイサー/3代目クレスタ…マークIIはセダンとハードトップ,チェイサーはハードトップのみ,クレスタはプレスドアのセダンというラインナップ。当初は2000cc6気筒(過給機モデルあり)と1800cc4気筒だった。先代からの「ハイソカー」コンセプトを引き継ぎ,先代以上によく売れたモデルとなる。
平成元年
秋
・初代セルシオ…新開発の4000ccV8エンジンを搭載し,アメリカ市場でメルセデスのSクラスやBMWの7シリーズに対抗するニューブランドの高級車。アメリカでは「レクサス」と言う名前がついたが,日本では独自に「セルシオ」という名前がつく。当時はバブル景気の頂点にあり,高価格でありながら飛ぶように売れ,生産が追いつかなかった。デリバリーを待てずにアメリカから逆輸入するユーザも続出。
他
・マークIIシリーズに3000ccエンジン車追加。久しぶりの3ナンバー車となる。
平成2年
・マークIIシリーズに2500ccエンジン車追加。好調だった三菱ディアマンテを追撃する。
・カムリが夏にフルモデルチェンジし4代目となった際,引き続きV6エンジン搭載の「プロミネント」が用意される。この代でも双子車のビスタには用意されず。
平成3年
秋
・初代ウィンダム…日米で人気だった4代目カムリ(幅広の米国版)をベースにハードトップとしたモデルで,アメリカではレクサス「ES」として発売。エンジンは当初3000ccV6エンジンが搭載される。ベースとなった4代目カムリともども,人気モデルであった。
・9代目クラウン
・初代クラウン・マジェスタ
・初代アリスト
他
・カムリ・プロミネントに2500ccV6エンジン車追加。
平成4年
秋
・セプター…アメリカで売られているカムリを日本に持ち込む。当初はアメリカ製のワゴンを投入し,次いで日本製のセダン,さらにアメリカ製のクーペを投入する。エンジンは3000ccV6と2200cc4気筒の2種類。ワゴンはある程度台数が出たらしいが,セダンはすでにカムリ/ビスタというよくできたモデルがあったため注目はされなかった。
・7代目マークII/5代目チェイサー/4代目クレスタ。…ついにボディが3ナンバーサイズとなる(マークIIのセダンは先代を継承)。マークIIはややエッジが効いたハードトップ,チェイサーは部分的に丸みを持たせたハードトップ,クレスタはプレスドアのセダンで登場。バブルがはじけた直後でありながらこれまたよく売れる。
平成5年
・ウィンダムに2500cc車追加。
平成6年
秋
・2代目セルシオ…先代のキープコンセプトながらさまざまなリファインを加えたモデルとなる。ただ傍目にはリアガーニッシュが省かれるなどバブル崩壊の影響をまともに受け,ローコスト化が進んだ印象もある。しかしそれでも本モデルも価格の割りによく売れていた。
他
・カムリが5代目となったが,V6の「プロミネント」シリーズは廃止となった。
平成7年
春
・アバロン…アメリカトヨタの最上級車を逆輸入。FF方式でエンジンは3000ccV6。4ドアセダン1本のボディだった。おそらくトヨタ自身,そう売れると思っていなかっただろうし,本気で売るつもりもなかったのではないか。ごくたまにしか見かけることはなかった。
秋
・10代目クラウン
・2代目クラウン・マジェスタ
冬
・クラウン・コンフォート(タクシー専用車)
平成8年
夏
・2代目ウィンダム…5代目カムリをベースに開発。ハードトップの大型FF車というコンセプトはそのまま。エンジンはV6の3000ccと2500cc。ベースのカムリ/ビスタが先代の車台をそのまま使っていたこともあり,2代目ウィンダムも先代との違いがよく分からず,でも当初は売れていたように思っていたが,Wikipediaの記述によるとモデル末期には売り上げは落ち込んでいたとのこと。
秋
・8代目マークII/6代目チェイサー/5代目クレスタ…先代のフロアパネルを継続して採用し,コストダウンを図ったモデル。この頃からこの手のハイソカーを購入していた層が高級ワンボックスカーに移行する動きが見られ始め,マークIIはそこそこ売れたものの,「セダン・イノベーション」と言いながらチェイサーとクレスタは不人気車となってしまう。
冬
・初代カムリ・グラシア…セプターの後継。エンジンは2500ccV6と2200cc4気筒の2種。ボディはセダンとワゴンの2種。従来の5ナンバーサイズ・5代目カムリと当分の間併売される。
平成9年
春
・マークIIクオリス…長らく作られていた4代目マークIIワゴンの後継。カムリ・グラシアワゴンの双子車である。そのためマークIIシリーズ最初で最後のFF方式である。しょせんカムリなのに,顔を変えるだけでマークIIになるんだなぁと,妙なところで感心したことがある。
・2代目センチュリー…なんと30年ぶりのモデルチェンジ。しかしデザインは初代のものを踏襲する。エンジンは5000ccV12のハイメカフォーカム。片バンクにトラブルが生じても残り6気筒でエンジンが回り続けるという,セルシオにもないメカニズムが搭載される。
夏
・2代目アリスト
平成10年
春
・プログレ…後に登場するレクサスISをベースに,落ち着いたデザインの4ドアボディを与え,車体寸法を5ナンバーサイズに抑えた(エンジンの関係で全車3ナンバー)小型の高級車。エンジンは直6の3000ccと2500cc。これまでの日本車にはなかった企画であり,そこそこ売れ,メルセデス・ベンツCクラスの需要をある程度抑えることができたのではないか。
秋
・アルテッツア…コンパクトな4ドアセダンのスポーティカーとして販売。しかし国際的には高級車ブランド「レクサス」のISシリーズという扱いになる。日本ではあえてレクサスの名前を持ち出さなかったため,高級車イメージはなく,それが功を奏してそこそこ人気車種となった。エンジンは2000ccの直6と2000cc4気筒のスポーツツインカム。輸出用の3000cc直6スポーツツインカムは用意されなかった。
平成11年
秋
・11代目クラウン
・3代目クラウン・マジェスタ
他
・5代目カムリが販売終息したため,セダンのみ「グラシア」のサブネームを廃止する。よって本モデルが6代目のカムリとなる。なお翌年にはダイハツにアプローズの後継としてOEM供給,「アルティス」の名前で販売される。
平成12年
春
・プロナード…日本ではアバロンの後継。先代同様,3000ccV6エンジンを持つ大型4ドアセダン。先代同様人気は高まらなかった。
夏
・3代目セルシオ…エンジンを4300ccに大型化。ボディもプレスドアを改めサッシュ式の4ドアセダンとなる。貫祿あるボディでありながら環境にも配慮したエンジンを搭載していた。これまた飛ぶように売れる。
・9代目マークII…この時点ではマークIIのみのモデルチェンジとなる。チェイサーは事実上小型のアルテッツアが後継となり,クレスタは名前が変更される。ボディが4ドアセダンに改められる。エンジンは直6の2500ccと3000cc。ところがこの代のマークIIは売れ行きがあまり伸びず,トヨタの高級セダンの行く末に暗雲がたちこめる。
平成13年
夏
・ブレビス…プログレの双子車で若干曲線を強調させている。プログレと違いこちらはあまり人気が高まらなかった。
・ヴェロッサ…マークIIの双子車でクレスタの後継。独特のフロントマスクを持ったがマークII以上に売れ行きが伸びなかった。
・3代目ウィンダム/7代目カムリ…時間差をつけて登場したが,ウィンダムがハードトップを改めセダン形としたため実態として同一車種となる。エンジンはウィンダムが3000ccV6,カムリが2400cc4気筒となる。あまりに大きいボディが災いし,両車ともこの代から急速に日本市場では相手にされなくなる。
他
・チェイサーが販売終息。
・アルテッツアにショートワゴンの「ジータ」を追加。
平成14年
他
・マークIIにワゴンの「ブリット」を追加。FR方式に戻る。名前がなんとも…。
平成15年
冬
・12代目クラウン
平成16年
夏
・4代目クラウン・マジェスタ
秋
・初代マークX
他
・プロナードとヴェロッサの販売終息。販売系列のビスタ店がネッツ店に統合されたため。
平成17年
夏
・(日本では)初代レクサスGS…アリストの後継。
・(日本では)初代レクサスIS…ネッツ店で販売されていたアルテッツアの後継だが,車格が大幅に向上したため,プログレやブレビスの後継としての役割も担う。ボディは4ドアセダンのみ。エンジンはV6の2500ccと3500cc。日本ではBMWの3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスのアバンギャルド仕様がライバルか。富裕層のセカンドカーとしては人気を集めたが,従来のアルテッツアユーザを移行させることはできなかったのではないか。
平成18年
初め
・8代目カムリ…この代から国内向けウィンダムは廃止(レクサス店でも販売されず)。アメリカ仕様には3500ccV6仕様やハイブリッド仕様もあり,大柄なボディにマッチした車種展開がなされていたが,日本仕様では2400cc4気筒仕様だけの販売となり,ライバルの日産ティアナと比べるとなんとも物足りない印象だった。当然日本市場ではぱっとしなかった。
秋
・(日本では)初代レクサスLS…セルシオの後継。トヨタブランドのフラッグシップがなくなるため,事前にクラウン・マジェスタをセルシオクラスの車格に引き上げる作業を行う。エンジンはV8の4600cc。レクサスブランド移行に伴いセルシオ時代から価格が大幅に上昇したが,これまた飛ぶように売れ,レクサス店がようやく軌道にのる。
平成19年
他
・レクサスLSにハイブリッド仕様追加。環境よりもパワーを重視した仕様のため,エンジンは5000ccを搭載。ストレッチボディの仕様も用意される。
・レクサスISにスポーツ仕様の「IS F」追加。5000ccV8のスポーツフォーカムエンジンは423psを発生,日産のGT-Rに対抗する。
・マークIIブリットの後継としてFFミニバンのマークXジオ登場。事実上イプサムの後継。
・平成18年登場のカローラ(オーリス)ベースの3ナンバーハッチバック車「ブレイド」に3500cc車追加。1100ccで登場したカローラが3500ccになるとは…。
・プログレ/ブレビスが販売終了。
平成20年
初め
・13代目クラウン(次回)
平成21年
春
・5代目クラウン・マジェスタ(次回)
夏
・初代レクサスHS/初代サイ…ハイブリッド車3代目プリウスをベースにした高級ハイブリッド車。レクサスHSが先行して販売される。プリウスのあまりの売れ行きで補助金の交付がされなくなる恐れがあったため,HSやサイも多くの受注を集めていた。プリウスと違い2400cc4気筒エンジンを持つ4ドアセダンだった。前輪がグリーンハウスに食い込むようなデザインとなっており,何度HSやサイを見てもおかしな印象がある。値段が高いせいもあり,一時の人気は下火となったように見受けられる。
秋
・2代目マークX(次回)
他
・レクサスISにコンバーチブルの「IS C」追加。
平成23年
初め
・レクサスCT…プリウスベースのプレミアム5ドアハッチバック車。エンジンはプリウスと同じ1800cc。登場当初は注目されある程度売れる。と同時にトヨタのプレミアムコンパクト,「ブレイド」の存在意義がなくなる。
秋
・8代目カムリ…ついにこの代から日本ではプリウスやサイのようにハイブリッド専用車となる。エンジンは2500cc4気筒エンジンとし,これにハイブリッド機構が搭載される。車台は先代のものを流用。ハイブリッド専用車ということもあり,注目されているはずなのだが,その割には実車を見たことがない。
平成24年
初め
・(日本では)2代目レクサスGS…ついに車種記号からクラウン由来の"S"記号が取れ,クラウンとは完全に独立した車種となる。エンジンは2500ccと3500ccのV6で,ハイブリッド仕様には3500ccエンジンが載り,燃費に加えパワー重視の設定となる。
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トヨタは日産ほど多くの高級車を作っていなかった,というか,それぞれが人気車種だったため,多数の双子車を作る必要がなかったのですが,平成の時代に入り,FF方式の高級車を作るようになったあたりから,覚えきれないほどの車種を濫造し,さすがのトヨタといえども,全ての車種を人気車種にすることはできなかったことが改めて分かりました。
いよいよ次回は最終回の13代目クラウンとなります。人気だった12代目のコンセプトを踏襲し,引き続き売れるクルマとなるかに思えたのですが,事態は思わぬ方向に急旋回します。
クラウンをベースに作られてきたレクサスGSがついにクラウン系列から離脱,今後トヨタは,同じクラスで国際的なレクサスGSと,ドメスティックなクラウンという2つのクルマを開発し続けるのでしょうか。
いろいろな疑問が沸いて出てくる中での最終回となります。
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