2017年8月13日 (日)

三菱自動車の「軽」を振り返る(5)

 久しぶりの「三菱自動車の『軽』を振り返る」シリーズですが,今回はこれまで触れてこなかったあのメーカーの話が中心となります。

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2017年2月18日 (土)

三菱自動車の「軽」を振り返る(4)

 この頃までの軽商用車と言えば,エンジンルームが前についたもの(愛知機械コニーのように,ボンネットがありながらエンジンはシート下にあるものもあった)が当たり前だったのですが,どうしても荷台(荷物室)が狭くなってしまうのが難点でした。

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2016年11月27日 (日)

三菱自動車の「軽」を振り返る(3)

 バン,後にピックアップも追加された三菱360はそこそこ成功し,ついに昭和37年10月,三菱360の乗用車版をつくることになりました。
 新三菱は昭和35年から,軽自動車より少し大きいクラスに,名古屋製作所製の「三菱500」をリリースしていましたが,これがさっぱり人気がなく,マイナーチェンジの上,「コルト600」と,ペットネームを付けて販売されました。ペットネームを付けたからといって,そう簡単に売れ行きが伸びるわけにはいかなかったのですが,水島製作所の新型軽乗用車に「三菱360セダン」などと無粋な名前を付けるわけにもいかなかったでしょう。
 三菱360の乗用車版には,ここで「ミニカ」というペットネームが付けられました。

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2016年8月20日 (土)

三菱自動車の「軽」を振り返る(2)

 ここで初めてお知らせすることになり大変心苦しいのですが,拙ブログ,しばらく前から「原則月1回更新」と,これまでの方針を大幅に変更させていただいております。
 理由は表の仕事が多忙になってしまったためです。気が向いたら更新頻度を若干上げるかも知れませんが,数年前のように,毎週書くわけにはいかなくなったことを,ご了承いただければと思います(って,そんなに誰も期待していないでしょ…)。

 さて,

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 クルマは,3輪あればとりあえず安定して立っていられる。しかし実際に走ってみると,4輪の方がもっと安定する。というわけかどうかわからないのですが,軽自動車の規格が決まった後,4輪の軽自動車から開発を始めるメーカーも多くありました。

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2016年6月26日 (日)

三菱自動車の「軽」を振り返る(1)

 三菱自動車の軽自動車が大変なことになっています。
 しかし,「燃費の偽装」,ということまでは予測できなかったものの,拙ブログでは過去の「くるまねた」記事で何度か,このメーカーの異常さを取り上げており,このメーカーならやりそうなことだなぁ,という感慨しか持ちません。

・燃費がいいからと言って売れるとは限らない…。http://kusup.cocolog-nifty.com/pasores/2013/03/post-4d3f.html
・高性能なラリーカーと,低廉なビジネス仕様しかないクルマ。http://kusup.cocolog-nifty.com/pasores/2012/11/post-cd02.html
・直噴ガソリンエンジンの悲劇http://kusup.cocolog-nifty.com/pasores/2012/07/post-88f2.html
・エリマキトカゲだけヒットするhttp://kusup.cocolog-nifty.com/pasores/2011/06/post-2a16.html
・どうして2ストロークになったのか…。http://kusup.cocolog-nifty.com/pasores/2010/11/2-30aa.html

 燃費問題が未解決のまま,三菱自動車は日産自動車の傘下に入ることになったり,他社でも燃費偽装が明らかとなったりするなど,この問題はまだまだ現在大きく進行中の事案であり,現時点で拙ブログで何かを語る段階ではありません。拙ブログにできることは,だから今三菱自動車製の軽自動車を振り返ることなのではないかと思いました。

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2014年11月16日 (日)

徳大寺有恒さん亡くなる

 ブログを毎週更新する元気が最近なくなったもので,またも2週間放置状態でしたね。

 その間,自動車評論家の徳大寺有恒さんが亡くなる,というニュースが飛び込みました。徳大寺さんはここ数年体調を崩されておられましたので,ついに来るべき日が来たかという印象がありました。ご冥福をお祈りします。

 徳大寺さんが1976年に出し,それから30年近く毎年刊行,その後空白期間があった後,試乗レポートを島下泰久さんに委ねて再刊された「間違いだらけのクルマ選び」は,自動車業界に多大な影響を与えた本となりました。今から50年近く前,ある自動車評論家が,6気筒化された2代目クラウンのレポートを書くのに,当初はツインキャブ仕様の新車を貸してもらう予定だったのが,シングルキャブ仕様のちょっとヤレてしまった社用車が貸し出されてしまうということがありましたが(拙ブログ「たとえ何年先になっても,いつかはクラウン…。」参照),徳大寺さんのおかげで自動車評論家の地位は確実に向上した,と言っても言い過ぎではないでしょう。

 この38年間に,「日本で乗る分には良い日本車」から,「世界的にも通用する日本車」に変わっていったのは,一番には各メーカーの努力が大きいでしょうが,やはり徳大寺さんを始めとする自動車評論家の力も大きかったことでしょう。とはいっても,「『間違いだらけのクルマ選び』という本の影響力は大きいぞ」と各自動車メーカーに認知されるのに4~5年程度,そこから,新しい自動車をリリースするのに4~5年程度かかっていることを考えて,徳大寺さんが「これだ!!」と思ったクルマがリリースされるようになったのはやはり昭和60~62年頃のことになるでしょうか。そう思ってその当時リリースされたクルマを見てみると,

・トヨタの2代目ソアラ
・日産の6代目セドリック・7代目グロリア
・三菱の6代目ギャラン
・マツダの2代目サバンナRX-7
・ホンダの3代目アコード・2代目ビガー
・いすゞの2代目ジェミニ

などどいうあたりの車種は本当によく考えられて作られたものだったように思います。

 ところがその後自動車業界は,あるメーカーがある企画で売れるとそれに他社も追従する,という構図に陥ってしまい,これまでに,クロスカントリー車,高価格車,安全ボディ車,ワンボックス車,低燃費車,…,などと出てきましたっけ。
 また,インターネットの普及により市井の人びとが「自動車評論」をするようになってしまいました。インターネット評論家の「日常生活に基づいた身近な意見」は,自動車を購入する上で大変貴重な意見ではあるのですが,自動車の歴史を勉強した自動車評論家に比べるとどうしてもその場その場の意見でしかなく,そして自動車メーカー自身が,自動車評論家ではなく,市井のネット評論家の意見を参考にするようになってから,どうも各メーカーともクルマ作りに1本筋が通らなくなってしまったのではないかなぁ,と思い始めるようになってしまいました。で,結局どうなったかというと,

・いすゞは乗用車の製造,販売から撤退してしまった。
・マツダはロータリーエンジン車を作らなくなってしまった。
・ホンダはスポーツカー作りをあきらめてしまった(ただし復活予定あり)。
・ダイハツは自社ブランドの登録車作りをほぼあきらめてしまった。
・スバルは軽自動車の製造から撤退してしまった。
・三菱は日本国内での自動車販売をほぼあきらめつつある。
・日産は国内でのセダン型乗用車の販売をほぼあきらめつつある。

といった有り様で,日本の自動車業界で好き勝手できるのはもはやトヨタだけ,という状況となってしまいました。まるで,巨人が一人勝ちしてしまった挙げ句,人気を失ってしまった日本のプロ野球界を思わせるような状況です。

 徳大寺さん亡き後,日本の自動車業界はどうなっていくのでしょうか。少なくとも,「間違いだらけのクルマ選び」の刊行された直後の,まだ各メーカーとも元気があった頃の状況には,もはや戻れないのではないか,という印象があります。

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2013年3月 9日 (土)

燃費がいいからと言って売れるとは限らない…。

 長期にわたりご愛読(??)いただいた,「800ccカー」の連載もいよいよ大団円を迎えました。ただ当初の計画では3代目ヴィッツで大団円の予定だったのですが,コルトがミラージュに名前を戻して6代目になることがわかり,まさかまさかの連載延長となったわけです(というか,それ以前にいろいろと理由をつけて連載を延ばしていたのですが)。
 主要諸元の比較ですが,47年前のコルト800は2ドアセダンのデラックス,現行6代目ミラージュは5ドアのMを取り上げました。
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     コルト800  6代目ミラージュ
全長(mm) 3650    3710(102%)
全幅(mm) 1450    1665(115%)
全高(mm) 1390    1490(107%)
ホイールベース(mm) 2200 2450(111%)
前トレッド(mm) 1220 1430(117%)
後トレッド(mm) 1185 1415(119%)
最低地上高(mm) 165  150(91%)
室内長(mm) -     1870(-)
室内幅(mm) -     1390(-)
室内高(mm) -     1220(-)
最小回転半径(m) 4.5 4.4(98%)
重量(kg) 750     870(116%)
乗車定員(人) 4    5

エンジン形式 直列3気筒水冷 直列3気筒水冷
弁形式 2ストローク  DOHC4バルブ
排気量(cc) 843    999(119%)
最高出力(ps/rpm) 45(38)/4500 69/6000(182%)
最大トルク(kgm/rpm) 8.3/3000 8.8/5000(106%)

変速機 手動4速2-4シンクロ CVT
駆動方式 FR     FF
前サスペンション ウィッシュボーン ストラット
後サスペンション 板ばね トーションビーム
燃料タンク(l) 32   35(109%)
燃費(km/l) 18    27.2(151%)
ブレーキ 4輪ドラム 前ディスク後ドラム
タイヤ 6.00-12 4PR 165/65R14

価格(円) 495000   1188000
高卒国家公務員初任給比 30.7 8.5(28%)
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 現行ミラージュが先代のFFコルトよりもダウンサイジングして登場したため,車幅とホイールベース以外はサイズ的に新旧似通っているというのが印象的でした。全長はわずか2%の増,全高は7%の増でしたありません。ただし全高はそれらより多めの15%増となっているのですが,それでも6代目ミラージュは5ナンバーフルサイズではありません。
 車幅が広がっている分トレッドも広くなっています。ところがホイールベースは全長の2%増しに比べて大幅に長くなった11%増しとなっています。
 驚くべきはホイールベースが長くなり,しかも小回りに不利なFF方式だというのに,ミラージュの最小回転半径はコルト800よりも小さい4.4mとなっています。現行ミラージュのエンジンルームの設計が欧州的にタイトなものではないのか,はたまたコルト800の設計陣が小回り性能に対してずぼらだったのか,本当のところは知る由もありません。
 現行ミラージュの重量が衝突安全性能を確保して900kgを割っているのはすごいことだと言われています。一方のコルト800は軽快さに欠けるデザインだったのですがそれでも現行ミラージュより軽い。当時の技術で軽いということは,安全性能もきっと軽いものだったのでしょう。

 47年を経てエンジンがどちらも直列3気筒だったというのも驚きです。ただ中身はミラージュが4ストロークDOHCなのに対しコルトは2ストローク。コルトのエンジン出力はグロス45psとクラストップでしたが,現行のミラージュはそれをはるかにしのぐネット69ps。ただトルクはミラージュの8.8kgmに対し,コルトの8.3kgmはさすが2ストローク,といったところでしょうか。
 ただ2ストローク故に燃費は悲惨な状況で,現行ミラージュが非ハイブリッド登録車中トップの27.2km/lなのに対し,コルトはガソリン価格の安かった当時といえども絶望的な定地燃費18km/l。実は私,すでにアラウンドフィフティですので子どもの頃は身の回りに多くの2ストローク車が走っていたはずなのですが,中判サイズのナンバーをつけた(軽自動車ではなく登録車,という意味)2ストローク車を見た記憶がないのですね。ファストバックボディのコルトを見たことは何度もあったのですが,それらのコルトが白煙をあげてうるさく走り回っていた記憶がない。ということは,私が小さいときに見たコルト・ファストバック車は全て4ストロークの1000ccか1100cc車だったということであり,2ストロークのコルト800はずいぶん早い時期に淘汰されてしまったということなのでしょう。何度もいう通り,この直後に高性能で低価格のサニー,カローラが出現します。この燃費の悪さでは,コルト800の多くは早期に乗り換えられ,中古車市場に出回ることなくすぐにスクラップにされてしまった,といっても言い過ぎではないかもしれません。

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2013年3月 2日 (土)

日本のクルマは,E233系電車をライバルにしないといけないかも…。

 本日は3代目ヴィッツの2回目となりますが,ここでまさかの11代目カローラ登場です。 足かけ4年にわたる「800ccカー」の連載ですが,主役となる,
 ファミリア→アクセラ
 コンパーノ→コンソルテ→シャレード→ストーリア→ブーン
 フロンテ800→…→カルタス→スイフト
 パブリカ→スターレット→ヴィッツ
 (三菱500→)コルト800→…→ミラージュ→コルト→ミラージュ
よりも影響力がはるかに大きかったカローラは,本連載の脇役とは言え避けて通るわけにはいかなかった車種でした。

 今までの連載も一通りカローラの歴史をなぞっていたのですが,あらためて紹介すると次の通りでしょうか。
 パブリカの失敗をみて周到に計画されたカローラはライバルの日産サニーより大きい1100ccのエンジンを積み,爆発的なヒットとなりました。社会が裕福になるにつれ2代目はより豪華に,より大きなエンジンを積んでその人気を確かなものにします。スポーツモデルのレビンも忘れてはいけません。
 公害対策の必要に迫られた3代目は一転,リフトバックという新しいボディスタイルと触媒を使わない低公害エンジンを提案します。4代目ではウェッジシェイプを採用し国際的にも人気が高まりました。ところが周囲のライバルはFF化が進行し,メカニズムに古さが目立つようになります。
 そこで5代目ではまず4ドアと5ドアのセダンを先行してFF化します。クリーンなデザインで好感が持てたのですが販売にはやはり影響がありました。一方2ドアと3ドアのレビンはFRのまま存続し,後年漫画にも取り上げられて人気が高まりました。
 6代目で全モデルのFF化を完成。上級車のイメージをうまく取り入れ,バブル景気にも助けられ空前の売り上げを記録します。余生を駆って7代目では最上級車セルシオのイメージを取り入れ,モノはよかったのですが,景気の冷え込みに伴ってやや苦戦,それでもこれからのクルマはエアコン標準装備が当たり前というイメージの定着には成功したように思います。
 ところが景気はいっそう冷え込み,8代目は7代目のコンポーネントを活かしながらコストダウンを図ったことが人気を下げる結果になりました。7人乗りのコンパクトカー,スパシオを追加したことでようやく人気を保ちました。
 9代目は一転,"NCV"と銘打ち国際的にも通用する基準で作られました。デザインもよくこれがカローラ史上最良のモデルだったのですが,ホンダ・フィットの登場で長年続いていた販売台数トップの座を明け渡す結果となりました。続く10代目は1300ccを廃止し,いよいよ車格がプレミオ/アリオンに迫るところまできたのですが,ホンダ・フィットに加え自社のハイブリッド車,3代目プリウスに完全にやられてしまったのでした。

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2013年2月23日 (土)

将来売れなくなることが分かっているクルマの開発は苦痛じゃないのか

 今回は平成22年末に登場した3代目ヴィッツです。この車種も,気がつけば登場以来2年が経過しましたね。
 例によりまして主要諸元の比較をします。47年前の初代パブリカは2ドアセダン700デラックス,現行の3代目ヴィッツは5ドア1300Jewelaを取り上げました。
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         初代パプリカ 3代目ヴィッツ
全長(mm)     3585     3885(108%)
全幅(mm)     1415     1695(120%)
全高(mm)     1380     1500(109%)
ホイールベース(mm)2130     2510(118%)
前トレッド(mm)  1203     1475(123%)
後トレッド(mm)  1160     1460(126%)
最低地上高(mm)   170      140(82%)
室内長(mm)    -       1940(-)
室内幅(mm)    -       1390(-)
室内高(mm)    -       1250(-)
最小回転半径(m)  4.35     4.5(103%)
重量(kg)      605     990(164%)
乗車定員(人)     4      5

エンジン形式 水平対向2気筒空冷 直列4気筒水冷
弁形式     OHV2バルブ   DOHC4バルブ
排気量(cc)     697     1329(191%)
最高出力(ps/rpm) 32(27)/4600  95/6000(352%)
馬力荷重(kg/ps)  22.4     10.4
最大トルク(kgm/rpm) 5.6/3000  12.3/4000(220%)

変速機   手動4速2-4シンクロ CVT
駆動方式      FR     FF
前サスペンション ウィッシュボーン ストラット
後サスペンション 板ばね    トーションビーム
燃料タンク(l)   25     42(168%)
燃費(km/l)     24     20.6(86%)
ブレーキ     4輪ドラム  前ディスク後ドラム
タイヤ    6.00-12 4PR   165/70R14

価格(円)   422000      1370000
高卒国家公務員初任給比26.2    9.8(37%)
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 現在の軽自動車の規格は全長3400mm以下,全幅1480mm以下,排気量660cc以下(全高は略)となっています。パプリカの車幅は現在の軽自動車の規格をはるかに下回るものになっており,全長もわずか18cmほど,排気量も40cc足らずほどしか増えていません。この連載が始まってから実に足かけ4年目となり,いつの間にかトヨタもダイハツのOEMで軽自動車を売るようになっていたのですが,低燃費で有名になったダイハツ・ミライースベースのトヨタ・ピクシスエポックの車両重量が実に730kgもあり,パブリカの重量はそれを実に120kg以上も下回っているというのが驚きです。もっとも,この重量では現在の衝突安全基準を満たすことは不可能だと思われるのですが。
 現行ヴィッツはこのクラスとして順当なボディサイズであり,特に見るべきところはありません。背を高くして売り出した初代ヴィッツでしたが,2代目で高められた全高を3代目では元に戻しています。その一方で全長が長くなり全幅も広くなっているので,ワイドアンドロー感があります。
 最低地上高はやはり道路状況に合わせたものになっており,初代パブリカも,現行ヴィッツもトヨタらしく小回り性能にはこだわっている,という感じです。もっともヴィッツのスポーツバージョンであるRSの最小回転半径は欧州車も驚きの5.6mと,取り回しがかなりきつそうな印象があります。

 パプリカのエンジンは,もはやトヨタからは二度とお目にかかることはないであろう空冷2気筒エンジン。もっとも水平対向エンジン車としては,スバルと共同開発の"86"が,(乗用車としては)2代目パブリカ以来40年ぶりに復活しています。その2代目パプリカから4気筒エンジン車が投入され,それが続いています。2代目ヴィッツからは1000cc車が3気筒エンジンになったのですが,現行のヴィッツのラインナップをみると,もはや1000ccを選ぶ理由はなく,1300か1500の4気筒車から選ぶようになるのでしょう。一時スターレットの1300ccにはベーシックグレードにも強力な100psエンジンが搭載され,それが嫌われその後しばらくエンジンがデチューンされていたものでしたが,いつの間にか95psにまで戻っています。すると現行ヴィッツの馬力荷重は10.4となり,特に1500を選択しなくても十分スポーティに走れるというわけです。一方のパブリカは0.85掛けをした27psで馬力荷重を計算するとこれまた絶望的な22.4。この後パブリカはマイナーチェンジされて800ccエンジンが載るようになるのですが,その少し前に登場した名車トヨタスポーツ800で同じように馬力荷重を計算して(重量580kg,馬力45*0.85=38ps)も,なんと15.3でした…。
 パブリカの燃費は例によっていわゆる定地燃費ですので,実使用でいくとどうだったか。ヴィッツもアイドリングストップ車はこれより燃費がよくなっているのですが,後述の通りこのクラスにハイブリッド車アクアを投入しており,もはやヴィッツの燃費を論じても余り意味がありません。

 パブリカのトランスミッションは2速から4速までがシンクロメッシュなので,(フルシンクロの車しか運転したことがないので分からないのですが),発進時はともかく,2速から1速にシフトダウンする時にいわゆるダブルクラッチの操作が必要になります。通常の走行ではそんなに気にしなくてもよいけれど,2速でも登れないような坂を登るときに,いったんシフトをニュートラルにしてクラッチをつなぎ,アクセルをふかしてシフトする,というのはなかなかつらいものがあったのではないかなぁと想像します。

 デラックスとはいえヒーターが標準装備でないパブリカの価格は42万円。みすぼらしいなりのパブリカでも,おいそれと買える値段ではありませんでした。でも,同じお金を支払うならやっばり所有欲を満たすようなものが欲しい。だから初期のパプリカは支持されなかったのでしょう。一方のヴィッツはいわゆる女性向けのジュエラというグレードです。この上にUというグレードがあるのですが,価格が1300で実に150万円。これだけの値段をヴィッツに払うというのなら,一歩立ち止まって考えて,他車も比較してみるといいのではないかとおすすめしたいです。

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2013年2月16日 (土)

21世紀にもフロンテ800は存在した。

 3代目スズキ・スイフトは先代のキープコンセプトで平成22年秋に登場します。すでに登場以来2年半になろうとしています。
 主要諸元の比較ですが,47年前のフロンテ800は2ドアセダンデラックス,3代目スイフトは5ドアXLの前輪駆動CVT仕様としました。
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フロンテ800 3代目スイフト
全長(mm) 3870 3850(99%)
全幅(mm) 1480 1695(115%)
全高(mm) 1360 1510(111%)
ホイールベース(mm) 2200 2430(110%)
前トレッド(mm) 1240 1480(119%)
後トレッド(mm) 1200 1485(124%)
最低地上高(mm) 200 140(70%)
室内長(mm) 1670 1905(114%)
室内幅(mm) 1250 1385(111%)
室内高(mm) 1130 1225(108%)
最小回転半径(m) 4.9 5.2(106%)
重量(kg) 770 990(129%)
乗車定員(人) 5 5

エンジン形式 直列3気筒水冷 直列4気筒水冷
弁形式 2ストローク DOHC4バルブ
排気量(cc) 785 1242(158%)
最高出力(ps/rpm) 41(35)/4000 91/6000(260%)
馬力荷重(kg/ps) 22.0 10.9
最大トルク(kgm/rpm) 8.1/3500 12.0/4800(148%)

変速機 手動4速 CVT
駆動方式 FF FF
前サスペンション ウィッシュボーン ストラット
後サスペンション トレーリングアーム トーションビーム
燃料タンク(l) 35 42(118%)
燃費(km/l) - 20.6(-)
ブレーキ 4輪ドラム 前ディスク後ドラム
タイヤ 6.00-12 2PR 185/55R16 83V

価格(円) 545000 1317750
高卒国家公務員初任給比 33.9 9.4(28%)
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 スイフトは現代のクルマなので,車幅は5ナンバーフルサイズ,それに伴いトレッドも広くなっています。また,ヨーロッパ調のデザインなので全高も高くとられています。ところがこの3代目スイフトと,フロンテ800はなんと全長がほとんど変わらないどころか,逆に2cm短くなっています。ほぼ同じ全長なのにその一方でホイールベースは大幅に拡大。フロンテ800の時代と,3代目スイフトの時代では,クルマのトレンドが大きく変わっていることを物語っています。
 スマートなデザインだったフロンテ800は全高が低くとられている上に当時の道路事情によるものか最低地上高が20cmもとられており,室内の高さはかなり低くなっているのではないかと思われます。3代目スイフトは室内高が高くとられていますが,それでも車高や最低地上高の違いがそのまま室内高に反映されているわけではないらしく,逆にフロンテ800のシャシーがかなりペナペナだったのではないか,ということも想像できてしまうのです。
 最小回転半径は,現行スイフトはおそらくヨーロッパ的にエンジンルームにいろいろ詰め込んだ設計になっているのか,日本車にしては小回りが利きません。とはいうものの,フロンテ800も,やはり初期の前輪駆動車なので煮詰めが足りず,現在の軽自動車ほどの車幅しかないのに最小回転半径が4.9mとなっています。

 エンジンはフロンテ800がこの後10数年にわたって使い続けられた2ストローク3気筒エンジン。この当時のスズキの技術では2ストロークの選択肢しかなかったのでしょうが,この後軽自動車に搭載された2ストローク3気筒エンジンは公害対策に苦しめられ,晩年は構造上避けられない「逆回転」の問題に悩まされます。その後スズキも4ストロークエンジンを作るようになり,現行スイフトでは一般的な4気筒DOHCエンジンとなっています。
 2ストロークエンジンはトルクが強くそれなりにパンチのある特性を持つのでしょうが,何より燃費性能に問題があり,当時はおそらく燃料消費率を公表することができないほどの数値だったのではないでしょうか,このフロンテ800についてはとうとう燃費を調べることができませんでした。現行のスイフトは一応リッター20kmを達成していますが,今後一層の燃費向上が望まれるところでしょう。

 そして,トルクフルなエンジンもやはり絶対的なパワーとしては不足気味であり,ネット換算35ps(2ストロークエンジンのネット換算が0.85掛けでよいかどうかは不明です)で計算した馬力荷重は絶望的な22kg/ps。この直後に登場するサニー1000はフロンテ800よりパワフル,より低燃費,装備が充実して,より低価格なわけですから,もはやフロンテ800が市場に残る理由はなかったというわけです。
 現行スイフトの馬力荷重は十分スポーティに走れる10.9。低燃費のクルマも多数ありますが,このクラスで走りも重視したクルマはそう見当たらないため,独自の立場を築いています。

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