2014年3月16日 (日)

パイオニアCT-780(5)・高級なのか安っぽいのかよく分からない走行系

 気がついたら3月に入っていました。
 パイオニア・CT-780について,だらだら書いてきてとうとう5回目。今回は走行系のお話しです。写真は前回の使い回しです。

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 この世代のバイオニア・オートリバースカセットデッキでは,"3DD AUTO REVERSE"というのを売りにしていました。DDというのはもちろんダイレクトドライブのこと。どこがダイレクトドライブになっているかというと,まずはサプライリールとテイクアップリール,そしてキャプスタン,正確に言うとフォワード側のキャプスタンの3つがダイレクトドライブ化されています。
 モーターはカタログによると「コアレス&スロットレスの高精度ブラシレスDCサーボホールモーター」というのが採用されています。と書いたけど,なんだそりゃ。カタログを初めて読んだ中学生の頃(!?)はなんのこっちゃよく分からず,分からないまま受け入れるしかなかったのですが,今やインターネット時代。分からない言葉はすぐぐぐれます。

 コアレスモーターとはなんぞや。モーターを作るとき普通は鉄心(コア)にコイルを巻き付けるけど,そのコアがないからコアレスモーター。立ち上がりに優れていることから,ボタンを押したときの反応がよさそうです。
 スロットレスモーターとはなんぞや。コイルを巻く溝がない,という意味なのだそうです。従って,コアレスモーターであればそれは自動的にスロットレスモーターでもあるんだとか。だからわざわざ「コアレス&スロットレス」と書いていたのですね。
 ブラシレスモーターとはなんぞや。常に接触しているブラシと整流子がコイルに電流を流すのがブラシ付きモーターなら,その接触している部分(制御の役割がある)を外部のインバーター回路に置き換えたのがブラシレスモーターなのだとか。正逆の回転変更が難しく,外部にさまざまな制御機構が必要なのが欠点ですが,ブラシがないので振動や騒音が少なく,耐久性にも優れているメリットがあり,現在では多くの機器に導入されているモーターだということですが,CT-780がリリースされた時代はまだ出始めの頃だったのでしょうね。
 そして,ホールモーターとは,上述のブラシと整流子がなくなったため,回転検知をするための「ホール素子」が取り付けられたモーターということで,ブラシレスモーターであれば自動的にホールモーターである,という理解でよろしいでしょうか。

 この,「コアレス&スロットレスの高精度ブラシレスDCサーボホールモーター」がダイレクトドライブ方式によって採用されたことにより,

・キャプスタンモーターではトルクリップルやコギングなどの有害成分が抑えられた。
・リールモーターでは耐久性の向上とスムースなテープ走行が実現できた。

と紹介されています。
 ただ,当時カタログで,この"3DD AUTO REVERSE"のメカニズム概略図で,フォワードキャプスタンとリバースキャプスタンのフライホイール同士がゴムベルトで逆回転するように接続されている様子を見たとき,「フォワード側は確かにダイレクトドライブかも知れないが,リバース側は,ダイレクトドライブとは言えじゃないんじゃないの?」と思ったものでした。

 さて,実機ではどうなっているのか。
 カセットドアをバタンと開け(しつこい),キャプスタンを指で回してみると,それほど力をかけなくてもキャプスタンが回せることが分かります。キャプスタンダイレクトドライブのカセットデッキは(全てそうかどうかは知りませんが)指でキャプスタンを回すことができます。CT-970もA&DのGX-Z5000もキャプスタンがダイレクトドライブ式ですのでこれらも指で回すことができます。
 電源を入れると,フォワード・リバースの両キャプスタンがそれぞれ逆回転します。テープをガチャンと(しつこい)入れて,プレイキーを押すと「カッチャン」というメカの音がして再生が始まります。
 ここでディレクションキーを押すと,「バンッ,ガッチャン」と,やや大きな音を立ててリバース再生が始まります。ストップキーを押してもやっぱり「バンッ」という音を立てます。
 ディレクションが正,逆,どちらの場合でも,ストップキーを押したあとの録再ヘッドの向きが同じになっているようですので,ヘッドを上げたり下げたりする最中にヘッドの向きを変えたり,元に戻したりしているのでしょうね。そして「バンッ」という音はヘッドを下げる音なのだろうかと思います。なんだかダイレクトドライブのモーターが3つもついているとは思えない安っぼさを感じます。

 再生状態から早送り・巻き戻しに入るときは「ペシッ」というやや軽い音がします。この"3DD AUTO REVERSE"で唯一秀逸だと思うのは,あまりそのような操作をすることはないと思われるのですが,早送りからすぐに巻き戻しを行うような場合,ほとんど無音で,しかも待ち時間ほぼ0で切り替えができるようです。この点だけはさすがコアレスモーター採用,と言ったところでしょうが,そこから停止キーなり,再生キーなりを押すと,やっぱり「バンッ」という,お金がかかっていない感じの音がします。
 再生状態からボーズキーを押したときの挙動は早送り・巻き戻しと同じ「ペシッ」という感じの音です。ポーズ解除の音はそれよりやや小さめの音です。

 本機CT-780と,メカニズムが同じ再生リバース機のCT-580のワウ・フラッターはWRMSで0.04%以下。EIAJのW・Peakでは±0.07%以下となっています。デジタル時代になりほぼ死語と化したこの「ワウ・フラッター」ですが,WRMSによる測定が以前からある方で,W・Peakによる測定がこのCT-780の登場前後から出てきたように思います。現在,自動車の馬力がkW表示になっているところなのですが,今でもやっぱりPS表示の方が分かりやすいのと同じように,ワウ・フラッターもWRMSによる測定の方が分かりやすいような印象があります。

 同じメカニズムながら,背が高いのでフライホイール径が大きく取れるCT-880のワウ・フラッターはWRMSで0.035%,W・Peakで±0.06%と改善されています。それにクォーツロックをかけたCT-980だとWRMSで0.03%,W・Peakで±0.055%とさらに改善されるのですが,これは,もう少々頑張れたのではないかなぁ,と思ったりします。
 なお1モーター機のCT-480はWRMSで0.05%,W・Peakで±0.08%になります。何度も言っている通り,標準価格が当時54,800円のデッキです。もう少々なんとかならなかったのでしょうか。

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2014年2月23日 (日)

パイオニアCT-780(4)・本当はヘッドの話。だけどどうしてもイジェクトが…。

 パイオニア・CT-780の4回目。今回はカセットドアを開けてみてヘッドまわりを見てみます。
 そのカセットドアなのですが,何回もご紹介の通り,安いラジカセのように固い操作感のイジェクトボタンを押すと「バタンッ」とドアが開きます。
 今,数年前に購入したソニーのラジカセのイジェクトボタンで試してみたのですが,いやいや昨今の安いラジカセでもこんなに「バタンッ」とは開きません。バネでダンプを利かせているのか,少々ゆっくり開いてくれます。CT-780はそのレベルにすら達していません。問題なのは,このイジェクト操作感は,上級機のCT-980でも同じということです。
 当時カセットデッキで一般的だったのはエアダンプ,もしくはオイルダンプにより,イジェクトボタンを押すとじわ~っとドアが開くタイプのもので,これがCT-970/770になるとモータードライブのパワーイジェクトとなり,イジェクトキーをぽん,と押すとモーターの音がしてイジェクトされるようになり,A&DのGX-Z5000になると,モーターの音が静かになり,しかもパワーローディングまでされるようになったのです。
 今回は,あくまでもこの手動で機械的なイジェクトを楽しんでみたかったので個人的には満足しているのですが,これが30年少し前,なけなしの金をはたいてCT-780を購入し,ラックにセットして,さぁ聞いてみるぞとイジェクトボタンを押したときに,「バタンッ」とドアが開くとき,ユーザーは一体どんな気分になっただろうかと,考えずにはいられません。30年前なら,私は「CT-770の方がよかった」と思うかも知れません。

 それはともかく,ドアの内部を見てみます。

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 回転式の録音・再生ヘッドはリボンセンダストとなっています。2ヘッドタイプのリボンセンダストヘッドはこれが初めてで,CT-580にも搭載されています。なおCT-480のヘッドはハードパーマロイでした。リバース機のためキャプスタンが2本装備されており,そのため消去ヘッドは3ヘッド機に装着されているものと同じ,小窓用の特殊合金ヘッドが採用されており,CT-780は録再リバース機のため2つ装着されています。

 初の録再タイプのリボンセンダストヘッドですが,カタログによると周波数特性は,全て低域が30Hzから,高域はそれぞれ,

・ノーマルテープ    -20dB録音 16,000Hz  0dB録音  9,000Hz
・ハイポジションテープ -20dB録音 17,000Hz  0dB録音 10,000Hz
・メタルテープ     -20dB録音 17,500Hz  0dB録音 15,000Hz

までとなっていました。これが3ヘッド機のCT-980/880なら,低域は25Hzから,高域はそれぞれ,

・ノーマルテープ    -20dB録音 17,000Hz  0dB録音 10,000Hz
・ハイポジションテープ -20dB録音 19,000Hz  0dB録音 11,000Hz
・メタルテープ     -20dB録音 20,000Hz  0dB録音 16,000Hz

とより広がっていました。ただ,同じヘッドを使っているはずのCT-970の,メタルテープ-20dB録音時の周波数特性が20~22,000Hz(CT-770は20~21,000Hz)であり,これは回路に何か変更があった,というよりはパイオニア社内の測定方法に何か変更があったのでしょうかね。

 実際に再生音を聞いてみた限りは,CT-770/970と同じ傾向の音で,もともとリボンセンダストヘッドの再生音に慣れていた私には安心して聞ける音,という印象があります。ただ,同じテープをCT-970と変えながら聞いてみると,高域の伸びがCT-780では少々足りないかなぁという印象がありました。
 あとはCT-780のほうが少々出力レベルが小さいかなぁ,という印象もあるのですが,なにしろ30年前に作られた機械のこともあり,経年変化の影響もあるのかも知れません。もちろんふだんテープをかけて聴く分には特に問題はないので,CT-970の寿命を少しでも伸ばすために,テープを聞きたいときはCT-780を使うようにしています。

 なおハードパーマロイヘッドのCT-480だと,周波数特性は低域は30Hzから,高域はそれぞれ,

・ノーマルテープ    -20dB録音 15,000Hz  0dB録音  8,000Hz
・ハイポジションテープ -20dB録音 16,000Hz  0dB録音  8,000Hz
・メタルテープ     -20dB録音 17,000Hz  0dB録音 12,500Hz

までとなっていました。

 そしてSN比は,それぞれノイズリダクションオフで,CT-780と580がEIAJ55dB,第3次高調波歪率3%時が59dB以上となっていました。それらよりCT-480だと-1dB,CT-980/880だと+1dBになっていました(ドルビーを入れたときは,5kHz時にドルビーBで+10dB,ドルビーCで+20dB向上)。

 駆動系のことを書こうとしたらもういっぱいいっぱいになってしまったので,それは次回に。

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2014年2月15日 (土)

パイオニアCT-780(3)・デジタル時代の今となってはこの多機能が泣けてくる…。

 パイオニア・CT-780の3回目。今回は右側の操作部の観察です。

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 特徴的な縦1列の集中操作ボタンは,CT-970/770の片道機では上から順に,STOP,F.F.,REW,PLAY,PAUSE,REC,REC MUTEの7つのボタンが配置されていたのですが,オートリバース機になったことにより,CT-980から580まで、まず上下シーソー式の早送り・巻き戻しボタンがあり,次にリバースボタン,さらに上下シーソー式のPLAY・STOPキーの,見た目は3つ,機能的には5つのキーが配置されています。
 早送り・巻き戻しボタンは例の三角形が並ぶアイコン表記で"F.F","REW"の表記がなく,逆にPLAYボタンは正逆両方向に進めることからボタンに三角形のアイコンがありません。

 それらからはみ出たボタンは集中操作ボタンの右側に移されてしまいました。上から順に,PAUSEボタン,赤いRECボタン,REC MUTEボタン。そして無音部を探して自動停止し,録音スタンバイ状態にする"BLANK SEARCH"ボタンが新設されています。
 ボタンの形状はCT-970/770のAUTO BLEキーと同じ縦長なのですが,970/770のAUTO BLEキーのようにストロークはなく,カチッと触るような操作感になっています。
 録音ボタンは,CT-970/770のようにPLAYボタンと同時に押す方式ではなく,ワンタッチレコーディング式になっています。
 CT-980/880ではこれらのキーの上にAUTO BLEキーとその設定情報をクリアするCLEARキー,次いでそのCLEARキーと同じ小さい正方形の形をしたBLANK SEARCHキーが配置されています。なおブランクサーチの機能がないCT-580/480には当然"BLANK SEARCH"のキーはなく,CT-580ではそこが空き地になっています。

 その右に3つの新機能のボタンが縦に配置されています。上の"MS/SKIP"はクイック・ミュージック・サーチとスキップ再生共用のボタンです。このボタンを1回カチッと押しておくと,表示パネルの"MS/SKIP"ランプが点灯します。この状態で早送りを押すと次の曲をサーチ,巻き戻しボタンを押すと今聴いている曲の頭をサーチする,という按配です。さらに再生状態でスキップ機能が働いているため,8秒以上の無音部を検出すると次の録音部分まで自動的に早送りするという寸法です。さらにリバースモードが設定されていれば「スキップリバース」が働くというわけです。

 次に配置されているのが"INDEX SCAN"ボタン。これはいわゆるイントロ再生機能です。上記"MS/SKIP"機能が働いている時にもそれを解除せずに働くようです。
 その次が"MUSIC REPEAT"ボタンで,このボタンを押すと8回まで同じ曲を連続再生するそうです。この"MUSIC REPEAT"機能に関してはこのボタンで機能を解除することができず,解除するにはSTOPキーを押すしかありません。
 なおCT-580ではミュージック・リピート機能がないためそのボタンがなく,CT-480はこれらの機能がないためごっそりこの3つ分のボタンが抜けており,下の方に簡略化された?"MUSIC REPEAT"ボタンが配置されています。また,背が高いためパネル面積に余裕があるCT-980/880 ではこの3ボタンの下にカウンターメモリーストップのボタン,さらにCT-980ではリアルタイムカウンターのためのテープ容量切り換えダイヤルがついています。C-90,C-60,C-46と,TDKのテープでよく採用されていたラージハブのC-46用の4ポジション切り換えになっていました。

 一方CT-780ではこの3キーの下に横に3つ,ノイズリダクション関係のボタンが配置されています。それぞれオン・オフの切り換え式で,左から順に,単にノイズリダクションのオン・オフのボタン,ドルビーBとCの切り換えボタン,MPXフィルターのオン・オフのボタンが並んでいます。
 CT-780と同じ位置にノイズリダクションスイッチがあるのがCT-580,CT-480は少し左側にオフセットされて配置されており,CT-980/880では真ん中の表示パネル部に移されています。
 MPXフィルターとは,FM放送の19kHzパイロットトーンでドルビー回路の誤作動を防ぐため,その周波数帯域をカットする機能のことですが,パイオニアのカセットデッキでは,代々MPXフィルターのスイッチが存在しておらず,CT-1000でMPXフィルター「解除」スイッチが搭載されていたところを見ると,どうもドルビーオンでMPXフィルターも強制オンというのがデフォルトだったのではないか,という見方をしています。現有のCT-970や以前所有していたCT-770にはMPXフィルターのスイッチはなく,確かCT-770の取り扱い説明書にもMPXフィルターの記述はなかったように思います。
 MPXフィルタースイッチが前面に出てきたのが高級機のCT-A1,そしてCT-980の世代以降,パイオニアのカセットデッキでも当たり前のようにMPXフィルターのスイッチが搭載された,ということなのでしょうか。

 その右が上から順に入力ボリューム,リバースモードのダイヤル,タイマー機能のダイヤルが備わります。
 入力ボリュームはLR同軸式です。製造後30年以上が経過したこの機体だけかも知れないのですが,手前のL側のボリュームが軽く動いてしまい,LR両方を同じように動かすことができにくい感じです。
 リバースモードは片道,1回リバース,連続リバースの3モードが選べます。
 タイマー機能は中央がオフ,右にひねるとタイマープレイ,左にひねるとタイマー録音です。当然別売りのオーディオタイマーがないと,電源オンした時の単なるオートプレイ・オートレコーディング機能でしかありません。
 これがCT-770(970)ではペシャペシャと音をたてる押しボタン式でした。機械的なスイッチでありながら軽いタッチで押されてしまうため,特にタイマーレコーディングボタンが間違って押され,しかも録音可能なテープが入っていた場合,デッキを使おうと電源ボタンを押すと,大事な録音が入っていたテープに上書き…というトラブルがなきにしもあらず,という状況だったので,CT-780以降のダイヤル式タイマー機能はいいなぁと思ったこともありました。
 この部分の配置が同じなのはCT-580。3ヘッドのCT-980/880では入力ボリュームの下に出力ボリュームがあります。CT-970/770ではラインアウト端子とヘッドホン端子の両方に出力ボリュームが効いていたと思いますが,CT-980/880でもおそらくそうだったのでしょう。一方CT-480ではリバースモードのダイヤルがいらないので,入力ボリュームのサイズがやや大きめになっています。

 一番右端が,上から順にマイクのL・R端子とヘッドホン端子。当然標準サイズのジャックです。CT-970/770では先にヘッドホン端子があって,あとでマイク端子が配置されているので,逆転していますね。CT-980/880ではマイク端子の上に3ヘッド機ならではのモニタースイッチが存在するのですが,CT-480にもやはり何かのスイッチがあります。カタログを目を凝らしてよく見ると"ALC"と書いてあるように見えるので,おそらく自動レベル録音機能をオン・オフするスイッチなのでしょうか。
 なおこの世代のパイオニアのカセットデッキでは片道機のCT-480以外ワイヤードリモコンに対応していました。

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2014年2月 9日 (日)

パイオニアCT-780(2)・74800円のデッキのレベルメーターがたった8セグメントとは…

 パイオニア・CT-780の2回目です。今回はディスプレイ部をまじまじと観察してみようと思います。

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 3分割されている真ん中の濃い灰色の部分から見てみようと思います。まずは左上に存在するカウンター。機械式3桁のものでした。私が所有していたCT-770も機械式3桁のカウンターでした。当時は他社でも徐々に電子式のデジタルカウンターの搭載が始まっていたのですが,パイオニアでは先代のCT-970の4桁電子カウンターがCT-980でようやくリアルタイムカウンター化され,また他社デッキの対抗策なのか,本機より価格が若干安いミニコンポ・プライベート用のCT-X70も4桁デジタルカウンターが搭載された以外は全て3桁の機械式カウンターの搭載にとどまっており,当時は少々見劣りがしていたのではないでしょうか。

 カウンターの下に位置する左右の矢印で囲まれた部分が"OPERATION MODE"表示部です。本機ではCT-980/880と同等の表示機能を持っています。右矢印がフォワード側,左矢印がリバース側の進行を示しており,現在フォワード側かリバース側かはどちらの矢印に薄く緑のLEDが表示されているかで示されます。テープが進行すると1個ずつLEDが濃く点灯する(フォワード側は左から右,リバース側は右から左)ようになります。
 両矢印の真ん中にPAUSE,REC,REC MUTEの表示ランプがあります。CT-980/880ではそこに"AUTO REVERSE"という文字が書かれており,これらのランプは"RECORDING MODE"として下の方に位置しており,さらにTAPE,SOURCEの出力切り換えランプをつけています。
 この3つの表示ランプの両端に,右側が三角,左側が逆三角の表示ランプがついています。両方とも点灯していないときはオートリバースしない状態,右側だけ点灯しているときは1回リバース,両側とも点灯しているときはエンドレス再生の状態です。
 なお,下級機のCT-580では矢印によるテープトランスポートの表示が省略され,フォワード側かリバース側かを表示する左右のランプしかありません。リバースモードがどうなっているかは右側パネルにあるダイヤル式のスイッチの状態を直接見ることで確認するしかないのでしょう。
 片道機のCT-480には当然テープトランスポートに関わる表示ランプはありません。

 次に存在するのがミュージック・サーチとスキップ再生のランプとミュージック・リピートのランプ。ミュージック・リピート機能のないCT-580ではそのランプはなく,簡易式のミュージック・サーチ機能しかないCT-480では両方のランプがありません。これらの機能の詳細は次回にしましょうか。

 その下に存在するのがオートテープセレクターの表示です。左がノーマル,真ん中がハイポジション(CrO2),右がメタルです。パイオニアのカセットデッキはCT-970/770の世代以降FeCrテープへの対応をやめています。パイオニアのカセットデッキの歴史をひもとくと,結構以前の機種からオートテープセレクターを搭載した機種があったらしいのですが,CT-970/770では一時的にオートテープセレクターをやめ,マニュアルテープセレクターとしています。当時の一部のメタルテープにメタル検出穴がなかったため,CT-970/770の世代ではオートテープセレクターの搭載を見送ったのかも知れません。
 さらにその下がカウンターメモリーのスイッチとドルビー表示です。カウンターメモリー機能はメモリーストップしかついていないようです。ただ本機がリバース機であることから,早送り・巻き戻しの両方でメモリーストップが効くようになっているみたいです。
 メモリーストップはCT-980/880/780のみの装備でCT-580/480では外されているようです。また先代のCT-970/570ではメモリープレイ機能もついている(CT-770ではメモリープレイ機能はなかった;_;)のですが,おそらく前述のミュージック・サーチ機能の充実により,メモリープレイ機能は不要と判断されたのでしょう。

 そして右側に縦に配置されているのがレベルメーターです。CT-980はCT-970と同じ16セグメント。CT-970にはピークホールド機能がついているのでおそらくCT-980もそうでしょう。CT-880はCT-770と同じ12セグメント。ですからピークホールド機能はないでしょう。だとすると当時でも99,800円のデッキでピークホールド機能がないのはどうかと思います。
 さてわれらがCT-780ではどうか。数字は+6,+3,0,-3,-6,-10,-20,∞と打たれているのですが,-20~-3のセグメントがカタログを見ると2つに分かれているので,一応12セグメントあるのか,それとも数字の表示の通り8セグメントしかないのか,当時はずいぶん疑問に思ったものでした。これを調べたいためにCT-780を入手したと言っても言い過ぎではありません。
 実機を見てようやく分かりました。2つに分かれたセグメントはやっぱりそれぞれ同時にしか点灯していません。結論。CT-780(とCT-580)に搭載されているピークメーターは,残念ながら8セグメントでした。74,800円のデッキのメーターとしては本当にどうかと思います。なおCT-480ではさらに少ない6セグメントのメーターとなります。

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2014年2月 1日 (土)

パイオニアCT-780(1)・ボロさ加減を確かめたかった…。

 気がついたら久しくブログに何も書いていませんでした。
 「webページの更新を頑張ります」と言いながらそっちの方も手つかずです。
 しょうがないから,長らく温めていたねたをここで放出することにします。

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 はい,CT-970に続いて,わずか3000円で購入してしまった,パイオニアのカセットデッキ,CT-780です。
 CT-770を型遅れは了解済みで購入した32年と少し前,パイオニア・カセットデッキのモデルチェンジに気がつき,ドルビーCノイズリダクション搭載で少々落胆した,というのは以前に書きました。

 ところがこのパイオニア・ALL DAYS COMPOの第2世代カセットデッキシリーズは,最上級機のCT-980以外,情報がほとんどweb上にありません。以前にも書いたのですが次のようなラインナップでした。

・CT-980…リボンセンダスト3ヘッド搭載クォーツPLL・3DD再生リバース機
・CT-880…リボンセンダスト3ヘッド搭載・3DD再生リバース機
・CT-780…リボンセンダスト2ヘッド搭載・3DD録音・再生リバース機
・CT-580…リボンセンダスト2ヘッド搭載・3DD再生リバース機
・CT-480…パーマロイヘッド搭載・1モーターワンウェイ機
(CT-680という機種はなかった…)

 当時の価格は上から順に,109,800円,99,800円,74,800円,64,800円,54,800円でした。
 ALL DAYS COMPO第1世代カセットデッキと比較すると,リボンセンダスト3ヘッド搭載クォーツPLL・DDワンウェイ機のCT-970の後継がCT-980で,オートリバース搭載ながら価格は値下げとなっていました。
 (リボンではない)センダスト2ヘッド搭載・2モーターワンウェイ機で3分割デザインではなかったCT-570の後継が,再生リバースを搭載したCT-580で,価格は1万円アップとなりました。
 パーマロイヘッド搭載・1モーターワンウェイ機であったCT-470の後継がCT-480だとすると価格は1万1千円のアップとなっていました。価格的にはCT-570とCT-480がまったく同じで,CT-480がドルビーC搭載だというのを除けばそうとうなグレードダウンになってしまっていました。

 そして,リボンセンダスト3ヘッド搭載・2モーターワンウェイ機のCT-770はというと,価格・型番の面と機能の面で後継機が2つに分かれてしまったなぁ,と当時も思いました。
 型番・価格の面から見た後継が今回登場のCT-780で,価格は5000円のダウン。シリーズ中唯一の録再オートリバース,ドルビーC搭載,上級機にひけをとらない各種のテーププレイ機能が加わったのですが,3ヘッドやデュアルキャプスタン(リバース用に2本キャプスタンは備わっているが),オートBLEの搭載が見送られ,筐体の高さの関係かレベルメーターのセグメント数も減り,機能的には見劣りがしたものでした。
 機能の面から見た後継がCT-880。こちらはCT-770同様リボンセンダスト3ヘッドにオートBLEが搭載され,デュアルキャプスタンではないもののワウ・フラッター値がCT-770と同じ0.035%で,しかも再生リバース,ドルビーC,各種テーププレイ機能もついたのですが,価格がCT-770の2万円増しと,大幅にアップしてしまったのでした。

 CT-770を購入してもらったばかりの私は当然,当時この第2世代機を購入することはなかったのですが,気になるモデルではありました。
 もちろんさまざまなテーププレイ機能に,ドルビーCノイズリダクション搭載というのが一番気になったのですが,実機を触ってみて,下級機から上級機に至るまで,イジェクトボタンがラジカセのような機械式で,CT-970やCT-770のようなモーター駆動のパワーイジェクトはおろか,当時一般的だったエアダンプも搭載されず,どうしてこのような露骨なコストダウンが図られてしまったのか,非常に興味があったのでした。

 パイオニアはこの世代のカセットデッキの後,一旦CT-970/770の路線に戻り,オーソドックスなデザインを与え高級かつ高性能なCT-A9をリリースし,今でも名機だと言われています。オートリバース機もモデルチェンジしたのですが主流にはせず,まさにCT-980~480の路線が否定された感じになってしまいました。

 そういう意味でも気になったモデル。CT-980や880よりも,CT-780,いや580でも480でもよい,とにかく1台所有してみて,そのボロさ加減を味わってみたい,というのがありました。
 ちょうどよいところにオークションでCT-780の出物があり,落札後,「正常に動作しないので入金を控えてほしい」と言われたものの,「ボロさ加減を確かめたい」気持ちが抑えきれず,「現状のまま送ってください」,と言ってしまったのでした…。(以下次回)

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2013年7月20日 (土)

パイオニア・CT-970(2)マニュアルテープセレクターが肝でした…。

 パイオニア・3分割デザインのオーディオ機器はまずカセットデッキのCT-970とCT-770が,次いでアンプのA-980/A-780とチューナーのF-780が登場。厳密に言えばリニアトラッキング式レコードプレーヤーのPL-780も3分割デザインですが,これはすぐにフロントローディング式のプレーヤーに取って代わられたように思います。その辺の登場時期の違いによるのか,なぜカセットデッキだけ型番がアンプ・チューナーより10番少なくなっているか,とか,アンプやチューナーにある新機能の搭載を示す白抜き文字がないのかずいぶん疑問でした。

 CT-970/CT-770はデザインはあんなでしたが,機能的にはクローズドループデュアルキャプスタン搭載片道3ヘッド機と硬派な印象がありました。ところが翌年に登場した同じ3分割デザインのCT-980/880/780/580/480(でしたっけ?)シリーズはオートリバースを搭載するなど,ずいぶん軟派になった印象がありました。
 しかし,CT-980のカセットドアには,あの白抜き文字で,
"Quartz-PLL Direct Drive"
"Ribbon Sendust Head"
と書かれており,ずいぶん誇らしげな印象がありました。ドルビーノイズリダクションも970/770系はドルビーBまでの搭載だったのが980/880/…ではドルビーCも搭載され,当時のCT-770ユーザはずいぶんコンプレックスを感じていました。「CT-770だって,白抜き文字で"Ribbon Sendust Head"と書いてもらう権利があるんだっ!」と思ったものでした。ましてやCT-970は本当は搭載されているのに(しかもワウ・フラッターは0.023%),カセットドアに"Quartz-PLL Direct Drive"とすら書いてもらっていません。クォーツDDは,もっと大書してもらってもよい機能だと思うのですが,ずいぶん控えめでしたよね。

 ところで,なぜ今になってCT-970をオークションで入手したのかといいますと,F-780を手に入れて懐かしさが増したという部分もあるのですが,現有で,これもすでに購入以来24年を経過したA&DのGX-Z5000が,いや再生系,駆動系はおそらく何の問題もないはず(ダイレクトドライブキャプスタン採用でもあり,このあたりとてもタフです)なのですが,オートテープセレクターの調子が悪く,再生中にテープセレクターが切り替わる状態となり,再生音に切り替わりノイズが入ることが多くなったのです。
 GX-Z5000とて,もう24年もの間使い続けており,それなりに愛着があります(作ったメーカーと倒産しましたが(爆))。これからも使い続けるためにメンテナンスを受けようと思い,そのリリーフとして,もうオートテープセレクター搭載のデッキはこりごりなので,あえてマニュアル式のテープセレクターを持つデッキをオークションで探そうと思ったところ,じゃあ懐かしのCT-770/970を入手すればいいのではないかと思い至り,そうこうしているうちにCT-970の出物が見つかった,というわけです。落札価格はちょうど1万円。しかも完動で,いい買い物でした。ですが,すでに製造後33年になろうとする機器であり,一度はメンテナンスに出してみようとは思っているのですが,それでも,残念ながら長くは使えないでしょう。GX-Z5000を復帰させるまでの間,このCT-970をしっかり楽しもうと思っているところです。
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 オーディオ系のねたはここで一休みして,次回からはしばらく,他の「モノ」について取り上げていくつもりです。

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2013年7月14日 (日)

パイオニアCT-970(1)・ついに買ってしまっただよ…。

 なんと6月2日以来の記事になってしまいました。前回,チューナーF-780の記事で次のような写真を載せ,

F780_1

「下に写っているものは何だ?」と気を持たせた終わり方にしてしまったのですが,「やっぱり懐かしくなってCT-770を入手した」のではなく…。

Ct970

実際にオークションで入手したのは,さらに上級機の「CT-970」の方でした(爆)。

 CT-970のスペックはCT-770の項であらかた説明していますのでもういいでしょう。私が若いときに使っていたのはあくまでもCT-770の方なのですが,こうしてCT-970を自宅に置いてみると,なんだか30数年にわたり使い続けてきたような感じになってしまいます。

 本機は比較的安い値段で落札できたのですが,すでにメンテナンスがなされていたのか全ての機能にほぼ問題がない完動状態でやってきました。若干気になるのが,パワーイジェクトでカセットドアが「バタン!」と威勢よく開く点です。下級機のCT-770では確かもう少々穏やかにカセットドアが開いていたはずで,おそらくカセットドアの開く速度を調節する部品が弱っているのでしょう。
 そのカセットドアですが,CT-770の項でも書いた通り,カセットホルダーとカセットドアの二重構造になっています。確かCT-770ではドアがプラスチック製だったように覚えているのですが,上級機CT-970ではなんとドアが金属製で重くなっているんですよねぇ。カセットホルダーを重くしてテープの安定走行に寄与しようとしているのかも知れないのですが,効果は定かではありません。

 自分が使っていたCT-770によく似ていて,CT-770を使った経験があればそれとほぼ同じ感覚でCT-970を使うことができるのですが,より進化している部分も多いです。まずはカウンターが4桁の電子式になっていること。ただこの時点ではリアルタイムカウンターの搭載には及んでいません。パイオニア機にリアルタイムカウンターが搭載されたのは次モデルのCT-980からです。その代わりCT-970にはテープ残量をおおまかに知らせる4灯LED式のインジケーターがついています。C-90とC-60兼用になっていて,それぞれのテープごとのおおまかな値を読み取る仕組みになっています。う~ん,カセットドアを開けて直接テープを見た方が早いかも。なおカウンターリセットボタンはカウンター近くではなく右側の操作パネルに移されています。カウンターメモリー機能もCT-770ではメモリーストップのみでしたが,CT-970ではメモリープレイ機能もついています。
 テープ走行のインジケーターも全LED式で,CT-770のそれのようなアナログ感覚はありません。レベルメーターもCT-770の12セグメントと違いピークホールド付き16セグメント表示と高級です。
 オートBLE機能ももちろん搭載されているのですが,CT-970ではバイアスが微調整できるボリュームが追加されています。まぁ,このデジタル時代に,しかもメタルテープはおろかハイポジションテープの新品すら購入できないようになり,もはやこのCT-970で録音をするようなことは考えにくいのですが…。

 肝心のCT-970の音質ですが,カタログ上ではCT-770よりほんの少し高域がチューンされているようになっているのですが,実際に聞いてみると,CT-770とそう傾向は変わりません。パイオニアのリボンセンダストヘッド搭載機は,実は意外と中・低音域がパワフルで,CT-770で録音したテープを改めて聞いてみると,まさに当時の記憶がよみがえったような,懐かしい音でした。(この項続く)

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2013年6月 2日 (日)

パイオニアF-780(2)・修理に出せば直るのだ。今回はおまけつき。

 帰って来た3分割デザインこと,AM/FMチューナー,パイオニアのF-780が到着し,早速コードをつないで電源オン。
 軽く音質をチェックしたところ,それまで四半世紀(製造後からは31年)にわたり使用した旧トリオのKT-7Xと比べると,AMもFMも音がしっかり出ている感じで非常に好印象でした。
 早速当地の放送局をメモリーし,ラックに組み込んで使ってみよう,としたところ,突然音が出なくなり,それまで表示されていたデジタルの周波数表示が薄くなり,しかもあらぬ数値を表示するようになってしまったのでした。

 これは大変だ,と思ったのですが,残念ながら私にはオーディオ機器の回路を追いかけて元通りに直す技量はありません。このままオブジェ化か,と思ったところ,当地にパイオニアの正規サービス店でありながらヴィンテージのオーディオの修理ができる会社があるとwebで発見,早速メールをしました。
 メールでの問診ではシステムコントロールICの不良を疑われ,その場合はこのICの在庫がないので修理不能だが,それでも一度見せてもらいたい,ということでした。

 昨年末の人間ドックで大腸の精密検査が必要と指摘され,当地の大きな病院に大腸の精密検査について相談に行くために休暇をとり(その後の検査が結構大変だったのだが,幸いにも異常なしとのことだった),そのついでにこの会社にF-780,とついでにKT-7Xも長期間使っているので一緒に見てもらうことにしたのでした。

 その結果,F-780は1万円弱の料金で修理可能,という判断となり(実はKT-7Xも部品交換が必要となり別に6千円強の料金を見積もられた),修理を以来,1週間少々で修理が完了しました。
 F-780の修理内容は,電源部のトランジスタ不良ということで交換,その他基盤のハンダ割れ修正や受信感度,IF調整ということでした。

F780_1

 再びラックに入れて電源オン。タイマー付きでチューナー部は標準価格より低コストで作られているはずのKT-7Xと違い,"IF WIDE"モードで聴くその音は,FMはおろかAMでも中低音域に厚みがあり,豊かな音で聞かせてくれます。もうちょっと早くにこのチューナーに出会っていれば,数多く残されているエアチェック済みのカセットテープの音もグレードアップしていたことでしょうが,もはやデジタルオーディオ時代になった今となっては,残念ながら昔を懐かしむ位のことしかできないのかも知れません。

 えーと,ひょっとして写真を細かく見られた方は気がつかれたかも知れませんが,本機はパネルに局名表示ができるようになっています。そしてもっと細かく気がつかれた方は,オリジナルと表示が違うのではないかと思われたと思うのですが,

F780_2

はい,その通りです。AM用の「NHK第1」と「NHK第2」がオリジナルで,あとは自作です。もとの局名表示板(これがとても小さい)の寸法を測り,wordで表を作ってその中に文字を入れ,これをパソコン用ラベルシートに印刷,さらにそれを100円ショップで売っているクリアファイルに貼り,それをはさみで切って局名表示のホルダーに入れています。
 印刷ラベルはエーワンのノーカットラベル,29334を使いました。色は白無地です。最初は同社の透明のラベルを使ったのですが,緑色LEDの光が強く漏れてまぶし過ぎたので白無地のラベルに印刷し直しました。
 FM局は欲張っていろいろ入れていますが,残念ながら当地ではこのうち3局しか入りません。
 折角ですからこのwordデータをお分けします。F-780(下級機のF-580も使用可か?)ユーザの方で昨今の新しい局名がパネルに入れられなくてお困りの方は,局名やフォントを自由に変更してお使いくださいませ。

「F780_station.zip」をダウンロード

 で,1枚目の写真を見てもひとつ気がつかれた方もおられると思うのですが,実はF-780だけではすまなかったのですねこれが。焼け棒杭はとうとうギンギンに燃え上がってしまったのでした…。

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2013年5月26日 (日)

パイオニアF-780(1)・焼け棒杭に火が点いた。

 1989(平成元)年早々にCT-770を処分し,新しいカセットデッキを購入し,音を聴く機械は依然としてラジカセだったのですが,やがてパイオニアのLDコンパチプレーヤーを買い,お金に余裕ができるようになってからはようやくアンプとスピーカーが買えるようになり,貧弱ながらも少しずつオーディオ環境を整えていきました。

 その一方で,中学校当時は夢のオーディオ機器だったデジタルオーディオが身近なものを通り越して一気にコモディティ化してしまい,さらには旧来のオーディオ機器が,時代が変わっても変わりようのないスピーカーや,デジタル機器の入力機能を取り込んだアンプはともかくとして,FMチューナーにカセットデッキは,いつの間にか風前の灯火状態になってしまったのでした。

 実はFMチューナーは,大学3年の秋に友人から中古のトリオKT-7Xという機種を5000円で購入していたのでした。これについてはまたいつか書くつもりなのですが,一応このリンクを紹介しておきます。

http://audio-heritage.jp/TRIO-KENWOOD/tuner/kt-7x.html

 昭和57年製ということで,友人宅ですでに5年使用していたものですが,「FMは聴かないから」ということで私のところにやってきたのでした。価格的には47000円とそれなりですが,実は本機はオーディオタイマー付きで,チューナー本体としてはそれほど高級な作りではなかったと思います。タイマー機能はなかなか便利で,目覚ましとしてラジオを自動オンし,毎日仕事に出かけていったものでした。気がつけばこのKT-7Xも私のところで実に四半世紀もの間使い続け,実は今も現有・現役です。
 この間地元のAMラジオ局でAMステレオ放送が開始され,このチューナーもAMステレオ対応のものに買い換えたいなぁと思いながらだらだらと時間が過ぎ,いつの間にかそのAMステレオ放送も終了してしまったのでした。

 インターネット・オークションをやり始めた10年前は,新品でなくてもよいからとにかく安く買う,ということを目的にしていたものでした。ところがオークションを見ているうちに,そこが「単に安く買うための場」から,「懐かしい品物を買うための場」,すなわち「自分の青春時代と今を橋渡しする場」に,だんだんと変わっていったのでした。
 自分が使っていたCT-770も,不動・完動関わらず時々オークションに出品されています。もちろん,デジタルオーディオ全盛となった現代では,もはやカセットテープにハイファイ録音をすることは考えられず,思い出のCT-770を入手したところでただのオブジェとしてしか使用目的がありません。

 この3分割デザインを持つパイオニア製の機器は,(本当はレコードプレーヤーもあるそうですが)あとはアンプとチューナーがあります。もっともアンプは,パイオニアの3分割アンプよりも明らかに高音質と思われ,しかも購入18年でそれなりに思い入れもあるマランツPM-88aSE,

http://audio-heritage.jp/MARANTZ/amp/pm-88ase.html

を持っているので,中学校の時に見たA-980他の入手は考えられません。あの懐かしの3分割デザインを再び自分のものにするには,チューナーのF-780,

http://www.niji.or.jp/home/k-nisi/f-780.html
http://audio-heritage.jp/PIONEER-EXCLUSIVE/tuner/f-780.html

を買うのがいいのではないか,ということを思うようになってしまったのです。

 本機はパルスカウント検波のデジタルシンセサイザー式チューナーで,左パネルにあの誇らしげな白抜き文字で"Linear Pushpull Frontend"と書かれています。ツインバリキャップとプッシュプル構成のMOS FETによりダイナミックレンジを高め高級アナログ機に迫る音質だということだそうです。
 FM,AMともにWIDE/NARROW切り替えがあり,音質と選択度のどちらをとるか選べるようになっているのも魅力的でした。
 このチューナーは高さ6cmと薄型に作られており,お金に余裕があればCT-770のお供に買いたいと中学生当時は思っていたのですがそんなお金が家にあるはずもなく,仕方なくビクターのクリエイトについてきたアナログチューナーで高校時代はお茶を濁していたものでした。

 オークションで価格をチェックしていると,完動品で即決1万円4千円弱で出品されているものがありました。この機種の例により左側のパネルのヒンジが半分折れてしまっているということでしたが,パネルがないよりましということで,これを落札。ほどなく我が家にあの3分割デザインが帰って来たのでした。

Dsc04360

(この項続く)

23:53追記…1万円程度で買ったと思ったのですが,よく調べると,4千円弱で購入していました。訂正してお詫びいたします。というか,本機には実際に1万円以上かけているのでそう誤認したのでしょう。詳細は次回に。

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2013年5月19日 (日)

パイオニアCT-770(4)・カセットオーディオの時代は遠くなりにけり

 で,実際,このCT-770をどのように運用していたかということですが,

 ・学校から帰って来て(もちろん何かの用事で学校に残っていた時はアウト)メタルテープ,もしくは高級クラスのハイポジションテープを使いCT-770にて番組を録音。
 ・そのテープをしばらく聴いた後,これは残しておこうと思う曲があれば,KD-A150を送り出しにし,高級クラスのノーマルテープにCT-770でダビング。
 ・その後エアチェックしたマスターテープから曲名を聞き出し,カセットインデックスに記録。

という流れでした。特にお気に入りにしているテープはなく,家電店やディスカウントのカメラ店に行って気になる銘柄のものを買っていろいろ試していたように思います。そのうち,最終的に録音するテープを2種類用意しておき,曲調に合わせてその2種類のどちらかに録音する,ということもするようになりました。

 ドルビーの扱いは悩ましかったです。当初は折角ドルビー付きのデッキを買ったからと,エアチェック時に喜んでドルビーを入れていたものですがダビングの送り出しに使うKD-A150はANRS(ビクターのドルビーB互換ノイズリダクション)がついていません。当初はダビングの時にCT-770側でドルビーをオフにし,再生の段階でドルビーオンにしていたものでしたが,レベルの食い違いが生じて不自然な音になってしまったものでした。
 エアチェック時にはなるべくよいテープを使って少しでもダイナミックレンジを稼ぎ,ダビング時にドルビーをオンにした方がやはりより自然な音になるようで,ずいぶん早い段階でそのような録音のしかたに切り換えました。

 高校3年の2学期に,大学合格の前祝いと称してコンポタイプのラジカセを買ってもらうことになり,ソニーのCFS-7000というオートリバースラジカセを買ってもらいました。本機についてもいつか気が向いたら書く予定ですが,ラジカセなのにフルロジック式(ただしおそらく1モーター)でドルビーノイズリダクション付きという豪華な仕様になっていました。それを購入して以来,エアチェック時にようやくドルビーオンで録音ができるようになりました。

 大学2年生になるとハイファイビデオを導入。これを使うとダイナミックレンジ80dBで長時間録音ができるようになったため,こちらの方でエアチェックを行い,あとでCT-770にダビングをするようになったのでした。当時は余り気にならなかったのですが,当時録音したテープを聴くと,今となってはビデオデッキ特有の「チリチリ」というスイッチングノイズが気になります。

 ところが,なぜか大学3年の冬になり,ぱたっ,と,エアチェックの習慣が止まってしまい,以後FM番組を録音してダビングする,ということをしなくなってしまったのでした。特に就職活動に忙しかったというわけでもなく,今思い出してもエアチェックをやめるようになったきっかけが分かりません。
 そしてこのCT-770も元号が平成に変わってすぐの大学4年の終わりに,うんともすんとも動かないようになり,もう7年半使ったからと処分することにしたのでした。就職(それも正採用ではなかった)する直前だったのであまりお金もかけられず,大学の先輩(私より卒業が遅かった)に相談してこれが安くてよいと勧められたA&Dの2ヘッド機,GX-Z5000を購入したのでした(これも気が向いたら後述)。

 パイオニアのカセットデッキはこのあと,この3分割のデザインに合わせイージーリスニング指向となり,ほぼフルラインで2つのリールモーターとキャプスタンモーターをダイレクトドライブ化したオートリバース機構を導入します。CT-970後継でクォーツDDを搭載した再生リバースのCT-980。我等がCT-770はその後継が2機種に分割され,メカ的にCT-770の後継ともいえる3ヘッド機のCT-880と,直接型番を継承したものの2ヘッド機となりったCT-780(本機だけ録再リバース??),その下級機の再生リバースのみとなるCT-580(CT-680という機種もあったのだろうか??),さらにその下級機としてCT-480(本機はワンウェイ機??)と,全て例の3分割デザインで,しかもドルビーCノイズリダクション搭載と,なぜCT-770があんなに安く買えたのかよく分かったシリーズが投入されたのでした。
 もっとも家電店でこのCT-980を触ってみたところ,イジェクトボタンを押した感触がラジカセのそれと全く同じで,CT-770のようなパワーイジェクトは導入されなかったらしく,ドルビーC搭載を除けばあまり魅力がないなぁと思ったものでした。
 しかしパイオニアもそれではさすがにまずいと思ったか,CT-980の次期モデルは再びワンウェイ機に回帰し,全てをリファインしたCT-A9を投入しました。リファインしたと言いながら基本は同じリボンセンダストヘッドなので音質の傾向はCT-770と同じなのですが,より精密になったテープ駆動部やチューンを変えられるオートBLE,そしてテープをカセットホルダーに入れただけでオートローディングする機能など非常に高級になり,これはいいぞと思ったのものでした。

 GX-Z5000を購入した後,いつかまた3ヘッド機に買い換えるぞと思ったもののその機会には恵まれず,その一方でデジタルオーディオの進展によりカセットデッキはオーディオの中心から離れていき,各社ともいつしか高級カセットデッキを出さないようになったと思ったら今やカセットデッキを作っているメーカーは前述の通りTEACだけ,そして録音するテープもメタルテープが製造中止になってびっくりしたのも束の間,ごく最近ではハイポジションテープまでもが製造中止になり,今や普及型のノーマルテープしか売られていないのだということを知りました。

 一つの時代が終わったのでしょうか。いや,一つの時代が終わったからこそ,焼け棒杭に火がついてしまったのでした。

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