2014年7月12日 (土)

多角化路線に潜む罠

 ベネッセが流出させた個人情報をジャストシステムがそうと知らず購入し,自社の通信教育の拡販用に利用していたというニュースが流れています。

 ベネッセにもいろいろ言いたいことはあるのですがそれは他のwebがたくさん書くでしょうから措いといて,拙ブログの立場としてはやはりジャストシステムの方に興味があります。
 なお,拙web「ぱそこんぼらぼら」のどこかに「赤箱のワープロソフトの会社の面接に行って落とされた」という記述がありますがそれは事実でして,今から30年近く前,今はMetaMoJiの社長さんと専務さんにお会いした事があったのでした。
 もっとも今から5年前に,このお二方は,理由を明らかにせず創業したジャストシステムを手放して経営の表舞台から去られ,実はいまだに,あれは一体なんだったのか,よく分からないままになっています。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/cuttingedge/20091104_326144.html

 それはともかく,今から5年前のジャストシステムは経営がかなり悪化していたのですが,大手の制御機器メーカーの傘下に入ってから,徐々に経営状態が好転していたように思います。ただ,日本語IMEであるATOKはコアなユーザに支えられているものの,ワープロソフトの「一太郎」は徐々にシェアを落とし,最近では新しい一太郎をリリースしてもマスコミにはATOKだけしか取り上げられないケースが増えていました。

 そんな中,ジャストシステムの起死回生策として一昨年末に登場したのが子ども向けの学習教材だったのでした。
 今までの通信教育とは違い「タブレット」を使うのがジャストシステム流だったのでしょうか。好評なのかどうなのかはよく分からないのですが,ベネッセが1年以上の教材講読を条件にタブレットを無料で配らざるを得なくなってしまったところを見ると,ジャストシステムの学習教材は子ども向け通信教育の市場に大きな風穴を開けた,というのは疑いがないところなのでしょう。
 しかし,この学習教材は,開始直後はまだジャストシステムも慣れていなかったのか,タブレットの不具合や詰めの甘さが指摘されていたようでした。
http://blog.goo.ne.jp/motoi1237/e/ca095b5e79968ca2d29a0658f600593e

 この学習教材の拡販のために必要だ,と思って購入したのが,ベネッセが流出元の個人情報だった,ということなのでしょうか。確かにそうだと知らずに購入したジャストシステムに責はないのかも知れませんが,ジャストシステムはさまざまな情報を扱うのに欠かせないソフトウェアのメーカーが出自だったはず。百歩譲って,他の通信教育の企業では許されるようなことでも,コンピュータ関連の企業であるジャストシステムであれば,そもそも「名簿の購入」自体,許されないことではないかと思うのです。

 思えばこのような企業の体質は,毎年のように新しい一太郎/ATOKをリリースする反面,販売終了後わずか3年でサポートを終了させてしまう(脆弱性に関わる修正ファイルは比較的長い間供給されるが)という悪しき体制を始めてしまったところから現れていたように思います。
 ですから今回の件は起こるべくして起きたという印象が私には強いです。いろいろな部分に無理がかかったまま,なんとか赤字を持ち直して自転車操業のようにやっていた,それがジャストシステムの現状のような気がします。

続きを読む "多角化路線に潜む罠"

| | コメント (0) | トラックバック (0)