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2012年3月31日 (土)

プライベートではおタクな人でも,やっぱりクラウン。

 前回「カジュアル路線は認めません」で,平成4年にマークIIの7代目,チェイサーの5代目,クレスタの4代目が登場し,人気車種になったと書きました。
 6代目マークIIをはじめとする3兄弟も爆発的な人気を獲得していたのですが,今回は3ナンバー専用ボディとなり,マークIIは4ドアピラードハードトップ,チェイサーはマークIIと少々意匠を変えた4ドアピラードハードトップ,クレスタはプレスドア採用の4ドアセダンで登場しました。足回りに4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用したのが特徴的で,エンジンも直列6気筒3000cc,2500ccのスポーツツインカム,2000ccのハイメカツインカムと,2400cc4気筒ディーゼル,それに,3ナンバー車らしくない1800ccハイメカツインカム車も用意されていました。
 参考までに,マークIIのサイズは,全長4750mm,全幅1750mm,全高1390mm,ホイールベース2730mmとなっていました。
 Wikipediaによると,この7代目マークIIをベースになんと,10代目クラウンのロイヤルシリーズと,2代目クラウンマジェスタが開発されたというのです。

 登場は平成7年秋のこと。平成が始まってしばらくして起きたバブル経済の崩壊後,徐々に日本の経済が悪化していき,この頃の各自動車メーカーの命題は「いかにしてコストを切り詰めるか」ということだったと思います。
 平成が始まってすぐに登場した国産車各車の目を見張るようなデザインから一転,この頃の自動車のデザインは前モデルを手直し,それもよく手直しできればいいのですがむしろ改悪されてしまったような状況で,ろくなデザインのものがありませんでした。

 トヨタも平成6年の5代目カムリ/4代目ビスタが,人気だった先代の流れるようなデザインを改悪して不人気車となり,翌平成7年登場の8代目カローラ/スプリンターもデザインが改悪され人気がやや低調になりました。平成6年登場の2代目セルシオですらキープコンセプトであまり変わりばえのしないデザインとなってしまい,唯一よいデザインだったのが小型4WD車のRAV4だけ,という惨憺たる状況でした。

 ところが10代目クラウンの場合,すでに9代目が不人気モデルだったため,他のトヨタ車のように手直しをして売り出すという選択肢はありませんでした。そもそもクラウンの伝統とも言えたペリメーター式フレームがコスト高の原因だったこともあり,7代目マークIIの土台を活用して,人気だった8代目を思い出させるようなボディを載せた,という格好になったのでした。
 車体サイズは,全長が4820mm,全幅が1760mm,全高が1425mm,ホイールベースが2780mmと,マークIIよりそれぞれ少しずつ大きくなっていました。モノコックボディとなったおかげで,車両重量は大幅に軽量化されました。
 8代目クラウンと10代目クラウンは本当によく似たデザインを持っていました。ただ衝突安全性の見地からでしょうか,8代目では隠されていたAピラーが10代目では隠されることなく露出している,というのが8代目と10代目を見分けるポイントになっていたでしょうか。人気デザインをほぼそのまま復活させたこともあり,10代目クラウンはそこそこ売れたと思います。なおエンジンのラインナップはマークIIから1800とターボを除いたものになっていました。

 2代目のマジェスタは全長4900mm,全幅1795mmとさらに大型化。ただ全高はそんなに違いはなく,ホイールベースはロイヤルシリーズと同じになっていました。
 Wikipediaを読むとマジェスタもコストダウンの影響を受けたような記述があります。ただ,外観はフロントマスクがラジエータグリルとヘッドライトを分離させたり,テールランプを縦型にしてクラシカルな印象を持たせたりするなど先代よりかえって高級感が増したような印象がありました。もちろんこの2代目マジェスタもよく売れていました。

 と、ここでようやく「クラウンCMコレクション」の映像を見ていくのですが,マジェスタのCMシリーズは,「このクルマは,まずオーナーを誇りたい」というコピーを持ち出し,会社の社長がマジェスタのハンドルを自分で握って所用をすませるという,2代目・3代目・6代目クラウンのCFで山村聰さんが演じたような感じのものになっています。
 ただ山村さんのCMシリーズと違うのは,マジェスタオーナーの社長の顔がよくわからないこと(別にナレーターを起用している)。それと,山村さんのものが海外の要人をクラウンに乗せたり,アウトドアのレジャーを楽しむのにクラウンで出かけたり,というシチュエーションだったのが,趣味でブリキのおもちゃを集めたり,はたまた小唄を習いに出かけて全然上達しなかったり,といった,プライベートではややおタクががっているというか,あまりかっこよくない社長,というシチュエーションに変わっているところでしょうか。このあたり,60年代と90年代を流れる空気に大きな違いがあったのでしょうかね。

 一方のロイヤルシリーズのCFは,リリース当初がアメリカ?の自然の中を走るクラウンの姿,マイナーチェンジ後のものが,バレリーナの草刈民代さんを起用したものになっていました。
 草刈さんは,私と1つしか歳が違わないんですねぇ。CF収録時はまだ30代前半。草刈さんがプライベートでどのようなクルマにお乗りなのか知る由もないのですが,どう考えてもクラウンよりも高級ドイツ車の方がお似合いではないかと思います。そもそもクラウンというクルマ自体,山村さんの頃に「男盛りのクラウン」というコピーを作っていたくらいで,「男社会」を象徴するクルマであり,しかも大柄な車体なので,あまり女性が運転して似合うようなクルマではないような気がします。
 もっとも,そんなことはトヨタも重々承知していたようで,平成10年にコロナサイズの6気筒高級車「プログレ」をリリースしてこれがそこそこヒットするのです。

 話をクラウンに戻します。10代目のクラウンでは5ナンバーセダンを久しぶりにモデルチェンジします。リリースはロイヤルシリーズに遅れること3カ月後で,Wikipediaなどに書かれていないので裏付けが取れないのですが形式番号と,4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用しているところから見て,おそらくこの代のクラウン5ナンバー車はロイヤルシリーズ同様モノコックボディとなったのではないかと考えられます。そうなると,ペリメーター式フレームを採用したクラウンは継続販売中の8代目のバンとワゴンだけになってしまったのでした(前述の通りこの代でバンは終息)。

 さらにタクシー専用車として,クラウンの名前を冠した中型タクシー仕様のクラウン・コンフォートと,小型タクシー仕様のコンフォートをリリースします。これは,上記のクラウンセダンによく似たデザインを持っているのですが,実はプラットホームは別物で,コンフォート系はより古い6代目マークIIの土台を利用しているといいます。
 日産が平成5年,5代目ローレルタクシーと6代目ブルーバードタクシーの後継として「クルー」と呼ばれるタクシー専用車をリリース,コンフォートやクラウンコンフォートはそれに対抗して登場したのでした。日本のタクシーのデザインが一挙に古くさくなってしまった側面は否めませんが,キャビンを大きくとったスタイルは特に小型タクシーで乗務員の労働環境を格段に向上させた功績もあると思います。
 ところがこの古くさいクルーのデザインがごく一部で人気となり,日産は平成6年,6気筒エンジンを搭載した乗用仕様をリリース,平成14年まで売られます。
 コンフォートはクルーのように正式な乗用仕様はなかったのですが,トヨタとして久しぶりの手頃なサイズのFRセダンだったこともあり,関東地方の販売店でハイメカツインカム・スーパーチャージャー搭載のスポーツ仕様が限定発売されたといいます。
 とはいえ,クラウンコンフォートは,同じくタクシー専用車だったトヨペット・マスターの,実に39年ぶりの後継車といえるでしょう。一度は否定されたタクシー専用車が,乗用車3ナンバー化の進展で再び待望された,というのが面白いところだと思います。

 クラウン・マジェスタが由来となるアリストも平成9年には2代目となるのですが,クラウンと同じ"S"という形式記号を持ちながらこの2代目から独自のプラットホームを持つ車種に変わります。V8エンジン車はなくなったものの3000ccツインターボ280psエンジン車とノンターボ230ps車の二本立てとなります。
 ボディは曲面が強調された大柄な4ドアセダン。粗暴な印象を持つ2代目アリストはその「ワルさ」が受けてまたまた若者に大人気となり,中古車市場に放出されたアリストはやがて族車ベースとして使われることになるのです。

 なお同じ平成9年のクラウン・ロイヤルシリーズのマイナーチェンジでは衝突安全基準がオフセット衝突にも対応した"GOA"基準に変更されています。

 ところで,「クラウンCMコレクション」に収録されたこの年代のCFですが,DVD収録にあたり灰色に塗りつぶされた四角形が不自然に画面に現れます。
 これは何かと思い,YouTubeにアップされたCFを確認してみると,日産の「イチロ・ニッサン」に対抗して当時大リーグのドジャースに所属していた野茂英雄選手を起用した"BIG CHALLENGE"キャンペーンのロゴを消していたのですね。"BIG …"の"I"の文字がいままさに野茂選手が投球するというところのシルエットになっており,野茂元選手の肖像権の問題がクリアできなかったのか,はたまたアメリカ大リーグの権利を保護するためだったのか,いずれにしても,相当大きな問題があの不自然な灰色部分に隠されているようです。

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