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2012年10月 6日 (土)

昔は渾身の1台だったのだが,名前が変わった今では…。

 人気のヴィッツよりも下の車格とし,「軽自動車では小さすぎるから…」というユーザの取り込みを企画し平成16年夏に登場したのが,ダイハツ・ストーリア/トヨタ・デュエットの後継の初代ダイハツ・ブーンと初代トヨタ・パッソです。
 これらの車種を開発し製造しているのがダイハツなので,本稿ではブーンを先に表記し,パッソを後に記すことにするのですが,後述のとおり企画はトヨタで,これら2車種の販売台数も圧倒的にトヨタの方が多いので,一般には「パッソ/ブーン」という書き方の方が通りがよいかも知れません。
 さらにWikipediaにも記述がある通り,そっくり同じ形をしているのに,この2車種はOEM関係にはなく,ブーンはダイハツの型式呼称,パッソはトヨタの型式呼称を持つというのです。どうしてそのようになっているのか,もはやダイハツとトヨタと国土交通省しかわからないような状況になっています,が,それは本稿で追究すべき問題ではなさそうです。

 ブーン/パッソは,求めやすさや取りまわしのしやすさを求め軽自動車のプラットフォームをもとに開発したとされます。例によってダイハツ側ではあまり宣伝をしなかったのですが,トヨタ側では「プチトヨタ」と称してトヨタ最小の乗用車であることを大々的に宣伝したものでした。
 それまで(もちろん現に販売されているトヨタ車の中で)最小だったのは初代ヴィッツであり,確かに全長は初代ヴィッツの3610mmに対して3600mm(差は1cm!?)なのですが,全高は高いと言われた初代ヴィッツの1500mmに対して1535mm,全幅は初代ヴィッツの1660mmに対し1665mm,車重は初代ヴィッツの810kgに対し900kgと,決してメーカーの言う通り最小と言うわけではありませんでした。
 しかし翌年早々,ヴィッツは2代目となり,全高はともかく全長,全幅は初代パッソよりも大きくなり,ここで名実共に「トヨタ最小プチトヨタ」となったわけです。少々フライング気味の宣伝だったでしょうか。逆に言えば,当時は「プチトヨタ」の宣伝を見て,「次期ヴィッツはやや大きめのボディで登場するのだな」と想像したものでした。

 ボディはリヤがほとんど直立した5ドアハッチバックの1本のみ。エンジンはどちらもダイハツ製の新型で,1000ccはダイハツ伝統の3気筒,1300ccは4気筒と,初代ヴィッツに採用されたものとは違うものが搭載されました。可変バルブタイミング機構を搭載し,出力は71psにまで高められました。
 「ヴィッツの下」という販売戦略が功を奏し,ブーンはともかく,初代パッソは人気車種となりました。
 一応スポーツバージョンも用意され,平成16年末にはパッソ1300に「レーシー」と呼ばれる内外装だけスポーツバージョンとしたモデルが(ダイハツではブーン「カスタム」となる),そして平成18年春には,ブーンに待望の「X4」と呼ばれるモータースポーツ用車種が追加されます。ストーリアにも存在した「X4」のブーン版では,1000cc3気筒のエンジンは使わずに,過給機付きで1600ccのクラスに参戦できるよう,まず1300cc4気筒のエンジンをショートストローク化して936ccとし,そこにターボチャージャーを取り付けて133psの出力を取り出したのです。

 東京はお台場に"MEGA WEB"というトヨタの大きなショールームがあり,何年か前に上はレクサスLSから下はこのパッソまでいろいろなクルマを見て回ったことがあります。で,実はこの"MEGA WEB"には,その当時はダイハツの軽自動車も展示されていたのでした。トヨタのパッソのシートに座ったり,リヤゲートを開けてトランクの中を見た後に,ダイハツの,確かリリースされたばかりの4代目ムーブだったと思うのですが,同じようにシートに座ったりして,「同じダイハツで作っているのにこんなに作りが違うのか!」とびっくりしたことがありました。当然,ムーブの方が高級で,パッソの方が安っぽい,という感じでした。なぜダイハツでブーンが売れないのか,分かったような気がしました。ブーンを買うつもりでダイハツのショールームにやってきて,このムーブの質感を見てしまい,しかもムーブの方が,燃費はともかく税金などの維持費は少ない,と言われたら,「ブーンはやめて,ムーブにしようか」ということになるではないですか。
 実はダイハツでは,豪華になった軽自動車を反省し,装備を極端に抑え価格を安くしてお買い物グルマに徹した「エッセ」というモデルがありました(この後継が低燃費で話題となったミラ・イース)。車格に似合わない有名女優をCFに起用して,気取った女性が安っぽいお買い物グルマに乗る,という逆説的な宣伝が当たり,そこそこ売れた車種でした。このエッセの企画を登録車に持ち込んだのがブーン/パッソだったのか,と思ったものでした。

 いや,普通車ゆえに軽自動車よりも機構的に無理がないからよいのでは,と言われたその「燃費」もどうだったか。私の同僚が軽自動車に代えてこの初代パッソ1000を購入。「燃費はさぞかしよいでしょう」と尋ねたら,それが思ったほどよくなく,通勤経路が全線市街地というハンデはあるのだが,リッター10kmを少し超える程度だとのこと。
 本当にそうなのかと思い,今は「荒らし」で廃止されてしまったcarviewの掲示板を見てみると,「思ったほど燃費がよくない」というスレッドが立っていました。その中で「結構燃費はよい」というコメントを読んでみると,地方の結構条件のよい道路で使っていた,というような実態で,どうもこのブーン/パッソは,市街地で使うとあまり燃費に優れないエンジンが搭載されていたのかも知れません。

 このブーン/パッソをベースに開発されたのがチョイ悪系ミニワゴンの2代目トヨタbBでした。このクルマも複雑な経路をたどっていて,初代は初代ヴィッツをベースにしていました。ところが2代目は国内向けは初代パッソをベースにしたものの,輸出用のサイオンxBは,ボディを大型化するために2代目はオーリスベースとなり,それが国内では3ナンバー化した「カローラ・ルミオン」になったのでした。「動く音楽プレーヤ」と称し,フロントシートを沈み込ませて陰でよからぬことをするための視線を遮りくつろぐための「まったりモード」付きシートが搭載されていたといいます。
 このbBのダイハツ版で,ブーンをベースにしたもの(なぜこのような面倒な書き方をしているかというと,この2車種も型式呼称が別だから)が「クー」と呼ばれ,「まったりモード」付きシートもなく,やや女性向きの仕様になっているのだそうです。さらにこのクーはトヨタの傘下に入った富士重工にもOEM供給され,スバル・デックス(型式呼称はダイハツのもの)として市販されたのですが,2代目ラクティスのOEM版である「トレジア」リリースに伴い先に販売終了されました。

 さらに,このブーンの7人乗り版が,平成20年末登場のブーン・ルミナス/パッソ・セッテでした。これらはブーンをベース(なぜ「パッソ」の記述がないかというと,これは両車ともダイハツの型式呼称が付いていて,パッソ・セッテはブーン・ルミナスのOEMになっているから。ああややこしい)に7人乗り5ドアワゴンとしたもので,エンジンはダイハツ製の1500cc4気筒エンジンが搭載されていました。
 これらは初代ヴィッツベースのシエンタの後継となる予定だったのですが,どういうわけか販売が伸び悩みました。Wikipediaによると,翌平成21年に始まったいわゆるエコカー減税に対応した車種が存在しなかったため,と言われています。またこのクラスでは2代目フィットベースのホンダ・フリードが,値段が高いながらも圧倒的に強力でした。その結果,なんと古いモデルのシエンタが,一時生産中止となったものの復活を遂げて生き残り,ブーン・ルミナスとパッソ・セッテは今年春,ひっそりと製造終了してしまったのでした。

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