三菱自動車の「軽」を振り返る(9)
2サイクルエンジン,本当は2ストロークエンジンと言うのだが,ピストンがシリンダーを1往復する間に吸気・圧縮・膨張・排気を全部やってしまう仕組みです。
4ストロークエンジンがガスを燃焼室だけにとどめておくのに対し,2ストロークエンジンは混合気をまずクランクケースに導いて予備圧縮する仕組みとしており,それにより給排気のバルブやそれを駆動するカムシャフトとチェーン(ベルト)を省いて簡便なつくりにすることができる特徴もあります。
またクランクシャフト1回転あたり1回の爆発となるので,単純に言えば4ストロークエンジンの2倍混合気を爆発させることができ,従ってエンジンが低速回転しているときでも高いトルクが得られるメリットがあり,簡便な作りが要求されるオートバイや軽自動車にはうってつけのエンジンだといえます。
ところが吸排気のバルブがない,ということは4ストロークエンジンのように混合気を完全燃焼させることが難しく,また燃焼したあとの排気に燃焼前の混合気が混じりやすいという欠点もみられます。
完全燃焼しないということで,構造上一酸化炭素や炭化水素の排出量が多くなります。その一方で,燃焼温度が低く押さえられることから窒素酸化物の排出量は少なくなり,後年各自動車メーカーが悩まされることになる窒素酸化物への対策が,2ストロークエンジンではほとんど不要である,というメリットもわずかながらありました。
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