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2021年3月27日 (土)

A&D GX-Z5000(3)・鬼門はオートテープセレクターにあった。

 GX-Z5000の3回目はデッキ中央部の紹介から,それにまつわる機能のことを紹介していきます。まずは本機のディスプレイの下部にある各種つまみ類を見ていきましょう。

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 つまみは左から,ヘッドホン端子のボリューム,バイアス微調整,左右の録音バランスと大きな録音レベルのつまみが並んでいます。
 ヘッドホンボリュームはテープ再生時に音量調節のためいちいちアンプを経由しなくてもよいので,あれば便利な機能です。もっとも本機は2ヘッド機のため,録音時のアフターモニターをすることはできないので,3ヘッド機ほどには重宝しません。
 バイアス調整は本気でベストな録音をしようと思えば有用な機能だったのだろうと思うのですが,実は一度もまともに使ったことがありません。たぶん今でもどこかにオーディオチェック用のCDがあるはずなので,それを再生して本機で録音し,バイアスを何度か調整してベストなバイアス値を求めれば,テープに合った質の高い録音ができたのだろうと思うのですが,購入当時はCDプレーヤは自宅になく(実家に置いていた),CDプレーヤ代わりにレーザーディスクプレーヤを購入したときには,すでに正採用もされていたのでオーディオ三昧の生活もできず,結局バイアスボリュームを使用したことはありませんでした。
 本機の録音ボリュームは左右別ではなく,マスターボリュームと左右のバランス調整の2つのつまみで行うようになっていました。実使用にはたしかにこちらの方が便利で,録音バランスのつまみは一度も調整したことがないと思います。「つまみをさわらなくてよいので便利」というのはなんだか本末転倒な感じがしますけどね。

 その上のFL表示部は,リアルタイムカウンター,レベルメーター,テープポジション,ノイズリダクション,テープ走行モードを示す絵文字が表示されるようになっていました。
 カウンターは4桁のデジタル表示で,回転数を表示するのではなく,時間表示をするようになっていました。任意のところでゼロリセットを行い巻き戻しすると,マイナス表示ではなく,"99分59秒"から逆カウントする仕様になっていたかと思います。C-60やC-90等,テープの長さを切り換えるつまみはなく,どのテープでも一定の決まりでカウントしているようだったので,表示される時間が実時間とは大幅に違っており,もともとカウンターメモリー機能もないため,ほとんど役に立っていなかった印象があります。もっとも本機はカウンターに頼らなくても大丈夫な機能が搭載されていたのですが,それは後述します。

 テープセレクターはノーマル,ハイポジション,メタルの3段切替えでした。これをカセットハーフの検出孔を使い自動で切り換えます。フルオートのテープセレクターであるため,検出孔のない古いメタルテープの使用ができませんし,ソニーのFe-Crテープはノーマルポジションで使うしかありませんでした。
 本機のフルオートテープセレクターはパイオニアCT-780のように強い力でガチャッと検出孔に爪を差し込む方法ではなく,薄い2枚の電極が,検出孔があれば離れ,孔がないと接触して孔がないことを知らせる仕組みになっていました。メーカーが考えていた耐用年数の範囲では問題となることはなかったのですが,それより長期間使用すると,だんだん接触が悪くなり,再生中にテープセレクターが切り替わってしまうため,再生音に「プツ,プツ」というノイズが混じってしまう(再生イコライザーも変わるため当然その関係の音質変化もある)ので,テープをWAV化するときに大変困ったことがありました。それが拙ブログでも以前紹介した,パイオニアCT-970を購入した大きなきっかけだったのです。

 レベルメーターは13セグメント表示だったでしょうか。0dB未満は薄青色の表示で,それ以上は赤色の表示でした。-4dBのところに"0VU"を表示したり,ドルビーの基準レベルを-2dBのところに表示していました。テープセレクターに合わせて録音レベルのガイドを表示する機能(ノーマルで0dB,ハイポジションで+2dB,メタルで+4dB)も持っていました。ピークホールド機能はどうだったか。Googleの画像検索で,ピークホールド表示をしているGX-Z5000が1枚もないところを見ると,セグメント数が少ないこともあり,そのような機能はなかったのかも知れないですね。

 テープ走行モードは再生,早送り,巻き戻しのサインが表示されます。その他頭出し機能や編集機能を表示するようにもなっていましたが,そのあたりの話については,次回右側のテープ操作部のところで触れていきましょうか。

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