謹製「PC正常性チェック」を次々動かしてみるの巻
Windows11が発表された際に,今あるマシンでWindows11へのアップデートが可能かどうかチェックするマイクロソフト謹製のツールとして登場した「PC正常性チェック」。一体何が原因でWindows11にアップグレードできないのか教えてくれない,という致命的な欠陥があり,すぐに公開停止となってしまったのでした。
その後英語版以外でもアップグレードできない理由を教えてもらえるよう改善されたものが8月の終わりにInsider Preview利用者にのみ公開され,そして先日,一般ユーザにも再公開となったというわけです。
この「PC正常性チェック」を改めて我が家の各マシンにインストールして試してみようと思います。ま,結論からいえば有志作成のツール"WhyNotWin11"と結果は違わないのですが,それでも結果の微妙な表記の違いが何かを意味しているのではないか,と考えると,なかなか興味深い結果が得られました。
なお今回,画面のハードコピーをとるのが面倒に思えたので,結果はすべてテキスト表記としています。文章の前にv(本当はチェックマーク)や!,×が表記されていますが,これらは色分けされていて,vは緑色,!は黄色,×は赤色で表されています。
自作6号(AsRock Z170 PRO4S)Windows11化済
× このPCは現在、Windows11システム要件を満たしていません
詳細については、次の情報を確認してください。
× プロセッサは現在、Windows11でサポートされていません。
プロセッサ:Intel Core i7-7700K CPU @ 4.20GHz
v このPCはセキュアブートをサポートしています。
v このPCではTPM2.0が有効になっています。
TPM TPM2.0
v 少なくとも4GBのシステムメモリ(RAM)があります。
システムメモリ 16GB
v システムディスクが64GB以上です。
システム保存スペース 500GB
v プロセッサに2つ以上のコアがあります。
プロセッサコア 4
v プロセッサクロック速度は1GHz以上です。
クロック速度:4.2GHz
現にWindows11が動いているからといって容赦はしないようです。
同機に構築した仮想環境(Hyper-V)Windows11化済
× このPCは現在、Windows11システム要件を満たしていません
詳細については、次の情報を確認してください。
× プロセッサは現在、Windows11でサポートされていません。
プロセッサ:Intel Core i7-7700K CPU @ 4.20GHz
v このPCはセキュアブートをサポートしています。
v このPCではTPM2.0が有効になっています。
TPM TPM2.0
v 少なくとも4GBのシステムメモリ(RAM)があります。
システムメモリ 8GB
v システムディスクが64GB以上です。
システム保存スペース 136GB
v プロセッサに2つ以上のコアがあります。
プロセッサコア 1
v プロセッサクロック速度は1GHz以上です。
クロック速度:4.2GHz
仮想環境でもコア数を除きCPU周りについては親環境のものが基準になっているようです。メモリやシステムストレージ,TPMについては仮想環境を作るときに設定したものが基準のようですし,CPUのコア数が"1"でもチェックが入っているというのは,仮想的なマルチコアでも要件を満たすということなのでしょうね。
富士通CELCIUS J530 Windows11化済
! このPCは現在、Windows11システム要件を満たしていません
詳細については、次の情報を確認してください。
! TPM2.0がこのPCでサポートされ、有効になっている必要があります。
TPM TPM1.2
× プロセッサは現在、Windows11でサポートされていません。
プロセッサ:Intel Xeon CPU E3-1225 v3 @ 3.20GHz
v このPCはセキュアブートをサポートしています。
v 少なくとも4GBのシステムメモリ(RAM)があります。
システムメモリ 8GB
v システムディスクが64GB以上です。
システム保存スペース 500GB
v プロセッサに2つ以上のコアがあります。
プロセッサコア 4
v プロセッサクロック速度は1GHz以上です。
クロック速度:3.2GHz
CPUだけでなくTPMもチェックが入らなかったケース。一番最初の「満たしていません」文章の前についたマークが黄色の"!"になっており,TPMの項目にも同じ"!"が表示されています。
ここで,はた?と思ったのが,我々の常識では黄色い"!"よりも赤い"×"の方が重篤な印象があるのですが,この「PC正常性チェック」の世界では,ひょっとすると黄色い"!"の方が重篤な状況を示しているのではないか,という疑いです。このことが,このツールが示すメッセージが,どことなく難解で,何か裏があるのではないか,という疑念を持ちやすいような気がするのです。
自作5号(BIOSTAR G31-M7 TE V6.4)
! このPCは現在、Windows11システム要件を満たしていません
実行できる操作があるかどうかを確認してください。実行できる操作がない場合は、Windows10更新プログラムを引き続き取得します。
! PCはセキュアブートをサポートしている必要があります。
! TPM2.0がこのPCでサポートされ、有効になっている必要があります。
TPM TPMは検出されませんでした。
× プロセッサは現在、Windows11でサポートされていません。
プロセッサ:Intel Core2 Quad CPU Q8200 @ 2.33GHz
v 少なくとも4GBのシステムメモリ(RAM)があります。
システムメモリ 4GB
v システムディスクが64GB以上です。
システム保存スペース 256GB
v プロセッサに2つ以上のコアがあります。
プロセッサコア 4
v プロセッサクロック速度は1GHz以上です。
クロック速度:2.3GHz
つい先日までWindows11のBetaチャネル相当が動いていた環境。冒頭のマークは黄色の"!"で,その次の文章が「実行できる操作があるかどうかを…」と長くなっているのは,現に動作しているOSがWindows10だからなのでしょうか。
"!"で警告している項目はセキュアブートとTPM,"×"の項目はプロセッサとなっています。
富士通FMV-D1200改
! このPCは現在、Windows11システム要件を満たしていません
実行できる操作があるかどうかを確認してください。実行できる操作がない場合は、Windows10更新プログラムを引き続き取得します。
! PCはセキュアブートをサポートしている必要があります。
! TPM2.0がこのPCでサポートされ、有効になっている必要があります。
TPM TPMは検出されませんでした。
× プロセッサは現在、Windows11でサポートされていません。
プロセッサ:Intel Xeon CPU X3350 @ 2.66GHz
v 少なくとも4GBのシステムメモリ(RAM)があります。
システムメモリ 4GB
v システムディスクが64GB以上です。
システム保存スペース 256GB
v プロセッサに2つ以上のコアがあります。
プロセッサコア 4
v プロセッサクロック速度は1GHz以上です。
クロック速度:2.7GHz
自作5号と似たような環境ですので,似たような評価となっています。
Dell Inspiron 1525
! このPCは現在、Windows11システム要件を満たしていません
実行できる操作があるかどうかを確認してください。実行できる操作がない場合は、Windows10更新プログラムを引き続き取得します。
! PCはセキュアブートをサポートしている必要があります。
! TPM2.0がこのPCでサポートされ、有効になっている必要があります。
TPM TPMは検出されませんでした。
× プロセッサは現在、Windows11でサポートされていません。
プロセッサ:Intel Core2 Duo CPU T8300 @ 2.40GHz
v 少なくとも4GBのシステムメモリ(RAM)があります。
システムメモリ 4GB
v システムディスクが64GB以上です。
システム保存スペース 480GB
v プロセッサに2つ以上のコアがあります。
プロセッサコア 2
v プロセッサクロック速度は1GHz以上です。
クロック速度:2.4GHz
デュアルコアなのでコア数が2と表記されている以外は自作5号やFMV-D1200と似ているので,同じような評価です。
Dell Inspiron 1545
! このPCは現在、Windows11システム要件を満たしていません
実行できる操作があるかどうかを確認してください。実行できる操作がない場合は、Windows10更新プログラムを引き続き取得します。
! PCはセキュアブートをサポートしている必要があります。
! TPM2.0がこのPCでサポートされ、有効になっている必要があります。
TPM TPMは検出されませんでした。
× プロセッサは現在、Windows11でサポートされていません。
プロセッサ:Intel Core2 Duo CPU P8800 @ 2.66GHz
v 少なくとも4GBのシステムメモリ(RAM)があります。
システムメモリ 4GB
v システムディスクが64GB以上です。
システム保存スペース 240GB
v プロセッサに2つ以上のコアがあります。
プロセッサコア 2
v プロセッサクロック速度は1GHz以上です。
クロック速度:2.7GHz
上記Inspiron1525と同じような評価です。
キングジム ポータブック
× このPCは現在、Windows11システム要件を満たしていません
実行できる操作があるかどうかを確認してください。実行できる操作がない場合は、Windows10更新プログラムを引き続き取得します。
× プロセッサは現在、Windows11でサポートされていません。
プロセッサ:Intel Atom x7-Z8700 CPU @ 1.60GHz
× 少なくとも4GBのシステムメモリ(RAM)が必要です。
システムメモリ 2GB
× システムディスクは64GB以上である必要があります。
システム保存スペース 31GB
v このPCはセキュアブートをサポートしています。
v このPCではTPM2.0が有効になっています。
TPM TPM2.0
v プロセッサに2つ以上のコアがあります。
プロセッサコア 4
v プロセッサクロック速度は1GHz以上です。
クロック速度:1.6GHz
一見Core2グループと同じような評価のように見えますが,実は"!"評価は1個もなく,冒頭の全体評価から,プロセッサ,メモリ,システムストレージの容量の各項目まですべて"×"評価となっているのに注目です。"!"と"×"は同じような意味かも知れないが,この2つには何か深い溝のようなものが横たわっているような気がしてなりません。
Onkyo C413
! このPCは現在、Windows11システム要件を満たしていません
実行できる操作があるかどうかを確認してください。実行できる操作がない場合は、Windows10更新プログラムを引き続き取得します。
! PCはセキュアブートをサポートしている必要があります。
! TPM2.0がこのPCでサポートされ、有効になっている必要があります。
TPM TPMは検出されませんでした。
× プロセッサは現在、Windows11でサポートされていません。
プロセッサ:Intel Atom CPU N450 @ 1.66GHz
× 少なくとも4GBのシステムメモリ(RAM)が必要です。
システムメモリ 2GB
v システムディスクが64GB以上です。
システム保存スペース 128GB
v プロセッサに2つ以上のコアがあります。
プロセッサコア 1
v プロセッサクロック速度は1GHz以上です。
クロック速度:1.7GHz
こちらはCore2グループと似たような評価。メモリは2GBしかないので"×"となっています。
上記仮装環境のところでも書いた通り,本機はシングルコアマシンなのですが,ハイパースレッディング搭載により,コア数の評価で緑のチェックマークが入っているのに注目です。
「PC正常性チェック」では,何らかの意味があって黄色の"!"と赤色の"×"を区別しているのだろうと思うのですが,その区別の基準をはっきりさせていないので,チェック後はやっぱりなんとなく後味がよくない印象があります。
ソフトアンテナブログ、
https://softantenna.com/wp/windows/windows-11-unsupported-pc-agree-special-terms/
によると,サポート対象外の機器にWindows11をインストールしようとすると,「今後のアップデートの対象外だ」ということが通知されるようになるとのことらしく,しかしその「アップデート」の範囲を細かく説明していないのが,またいろいろな疑念のもとになっているように思います。
これまでも拙ブログでは「極悪マイクロソフト」などと書いたりすることはあったのですが,今回のWindows11騒動は,マイクロソフトユーザ歴29年を迎えようとする(1992年秋にWindows3.0用のおまけプログラムのパックを購入したのが最初)私の中でも,「最悪の出来事」という印象が強いです。
| 固定リンク
「うぃんねた」カテゴリの記事
- Windows11 Ver.23H2アップデート情報(←するの?)(2023.06.01)
- そういえば,Windowsユーザ歴満30年になった…。(2022.11.23)
- Windows11 Ver.22H2は,果たしてCore2機でもアップデートできるのか?(できた! しかしいろいろあった)(2022.09.22)
- 第7世代,どころか第4世代でも"Windows Subsystem for Android",いけます。(2022.08.20)
- 非対応機種にWindows11をインストールしてみる大実験(2022.07.24)
コメント