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2023年12月30日 (土)

次に忖度されなくなるのはきっとこの会社だっ!…2023年総懺悔・番外編

 2023年は,これまで最大限に忖度され,秘密が守られてきた組織が,トップの死によりいろいろと顕になってしまった1年となりました。

 ひとつは,あの芸能事務所。事務所トップによる性暴力が公の場で明らかにされた1年となりました。
 いや我々のレベルでも,うすうすは知っていました。中村正三郎(有名なプログラマの方。この後で話に出す某政党所属だった故人とは別)さんが「ざべ(The BASIC)」誌に連載していた「電脳騒乱節」の中で,昔この芸能事務所に所属していた□□□さんの本を取り上げ,「お○まほられて□□□」と書いていたことがいまだに記憶に残っています。中村さんはご家庭の事情から人権感覚は非常に鋭い方だと私は理解しているのですが,その中村さんでさえこう書いてしまい,それを読んだ私だって,それを面白おかしく理解してしまった,というところに,罪深さがあるのだろうと思います。
 しかし私の家内は実は,この芸能事務所に所属する/所属していた多くのタレントのファンであるため,「ほ〜らみろ,やっぱりあの芸能事務所は極悪だったんだ」とは,簡単に話題に出せない環境でもあるのです。いろいろな意味で,私の中では,取り扱いが非常に難しい案件になっていると思います。

 もうひとつは,現在政権を握るあの政党。あの政党のすることは非常に許されないことばかりでした。しかしほんの数年前まで,そのことを取り上げるのは非常に難しい雰囲気がありました。その政党の実質的リーダーで,過去に総理大臣を二度務めた人物が昨年銃撃されたのですが,そのことの是非についても,その人物がすでに故人になったというのに書くことができませんでした。故人がリーダーだった派閥が年末になり金権問題が明らかになり,「リーダーがいなくなるということはそういうことなのか」ということを再認識することはできたのですが,一般レベルではまだまだ忖度が必要な案件なので,うまく表現することができません。
 そしてもう1件は,あの自動車会社のことです。

 あ,先般不正問題が明るみに出たダイハツ工業のことではありません。過去に不正問題を起こした三菱自動車とは違い,ダイハツに対しては「気の毒だなぁ」という感想しかありません。
 なお,本件で特に切り分けて考える必要があるのは,平成元年登場の「アプローズ」。この車種の不正が明らかになったことで,「ダイハツは34年も前から不正を働いていた」と言われているのですが,やはりアプローズについては,2013〜14年以降の不正ラッシュとは切り分けて考える必要があるように思います。アプローズは,何らかの理由で開発に無理が生じてしまい,リリース後実際に「給油中の発火」事故が発生しており,このことは当時の新聞報道でかなり叩かれたので,すでに社会的制裁は受けているものと考えます。

 昭和52年に登場した初代シャレードを見るまでもなく,ダイハツの持ち味は,本当はその「生真面目さ」であったはずなのです。ダイハツが持っていた「生真面目さ」をぶち壊したのが,あの親会社だと,私は思っています。ダイハツを子会社化したその親会社は,採算が取りづらい商用車や小型車,新興国向けの自動車をダイハツに次々開発させ,親会社から送り込んだ経営陣に責任をとらせ,親会社自体は涼しい顔をして作りたい車を開発していた,ようにしか見えません。その結果の,無理な開発スケジュールを強行したことによる悲劇だったと,私は思っています。

 実の父親も,この親会社の車にいまだに乗っています(拙ブログの過去ログを漁ればどのメーカーのことを言っているのか丸わかりですね)。しかしこの当時のこのメーカーや,その製品には,私は好感を持っていました。
 いやいやさらに昔を遡りましょうか。ライバル会社だった日産が,サスペンションを一般的なストラット式に変えてまで,当時日本では珍しかったV6エンジンを搭載した「セドリック/グロリア」を発売し,やがてそれの3000cc版にターボを載せて,オーバー200psを誇示していた時に,その競争相手だった「◯◯◯◯」は,モデルライフ途中で3000ccにスープアップしながらも,あえて出力を190psに抑えて威厳を保ち,ユーザーも「セドリック/グロリア」ではなく「◯◯◯◯」を選んでいた,そういう,「大人」な部分が,この親会社には確かにあったはずです。

 しかし,創業家出身の現会長が社長に就任した2009年以降,この会社も変わってしまったし,子会社となったダイハツも変わってしまった,という印象があります。なにしろこの親会社から販売されるさまざまな車種が全て「幼児化」してしまった印象があるのです。
 一番分かりやすいのが拙ブログでも以前CMを収録したDVDを購入して話題にした,2025年には販売70周年を迎える「◯◯◯◯」でしょうか。2012年登場の14代目は全身ピンク色の仕様を投入して物議を醸し,2018年登場の15代目は「ニュルで鍛えた」と銘打ったものの尻下がりのデザインが嫌われ急速に人気が落ちたものでした。現行の16代目ではさまざまなボディデザインを投入したFFベースのものと,モデルチェンジして売れなくなった水素自動車の2代目を焼き直したモデルで売れ行きを挽回しようとしているのですが,好きものにしか売れていないのではないか,という疑念が浮かんでは消え,といった状況だと思われます。

 この親会社の幼児性は,「スポーツカーを自社で作れない」という面にも現れていると思います。軽のスポーツカーはダイハツに,2000cc級のスポーツカーはスバルに,そして3000cc級のスポーツカーはなんとBMW製という有様(このメーカーの高級ブランドで出している2ドアクーペは,どちらかというと「ラグシュアリーカー」ですよね?)。いや確かにラリーカーは作っているのですが,その3気筒エンジンを持つラリーカーで巷間噂になっているのが,「チューンするとエンジンが粉々になる」という話。エンジンを自分の責任でチューンしているので,確かに親会社に責任はないのですが,そのようなスポーツモデルをリリースしておいて,ユーザーがエンジンに何も手を加えずレースに出る,ということは普通あり得ないでしょう。カタログスペックを驚異的なものにするために親会社側でカリカリチューンを施してしまい,ユーザー側でチューンする余裕をなくしてしまった,というところなのだろうと思うのですが,呆れるのは被害を受けたユーザーがYouTubeで,「それでもこの値段でラリーカーを出してくれたことがありがたい」と忖度しまくりのコメントをしゃべっていたことです。そんなことで本当にいいのでしょうか。

 この親会社の車,1500ccハイブリッド車なのですが,同居する義父も乗っています。私がそれを運転する機会はあまりないのですが,ごくたまにハンドルを握ると,路面をきちんとインフォメーションしてくれないので,なんとなく怖い印象があるのです。でも昔の車のようにどこを走っているのか分からない,という感覚はない。「路面のことは車でなんとかしますから,あなたはリラックスして運転してください」,と車から言われているような気がする。じゃあ,と思ってリラックスして運転しているからと,この親会社の車で特に,ウィンカーをぎりぎりまで出さずに車線変更したり交差点を曲がったりとか,夜は光量が足りないからとまぶしいフォグランプまで点灯したり,そもそもヘッドライトも光軸が高めでまぶしいまま走っていたり,というのが多いような気がします。そう,この親会社の車に乗っている人はきっと「自分さえよければよい」,と思っている人が多いのだろうかと思います。そしてディーラーもそのような乗り方を容認し,ヘッドライトとフォグランプの回路が独立しているのでヘッドライトオンと同時にフォグライトもオンになる仕様のオプションを取り付けた挙句,その使い方まできちんと指導しない。
 しかし今回のダイハツの件で明らかになったのは結局,この親会社だけよければよい,もっと言うなら,この親会社の創業家だけよければよい,というのが究極の姿であった,ということなのです。この親会社の管理職,従業員,下請け企業,ディーラー,そしてユーザーまで,創業家の権威を高めるための道具に過ぎない,というような気がして仕方がないのです。

 なぜこの親会社の実名を本記事で出さないのか。先日この親会社が,雑誌社を名誉毀損で訴える事案があったため,拙ブログでこの親会社の実名を出して批判することは危険だという判断をしたからです。また,この親会社が雑誌社を訴えたことについて,ネット内では賛同する意見が多く,それらのネットワーカーから拙ブログが危害を受ける可能性もあると判断したからです。
 徳大寺有恒さん,三本和彦さんのような,自分の立場を賭けてまでメーカーに物申すような自動車評論家が,日本からいなくなったことが,日本の自動車業界がだめに「なった」きっかけになったと,私は思っています。一般人までもが,大メーカーの意見に忖度して同調しまくっている,という状況では,もはや日本の自動車業界が浮上するチャンスはなくなってしまった,と私は思います。

 そしてよく考えたら。私,これまでずうっと生きてきて本当に自動車のことが好きだったのに,今,「欲しい車があるか?」と尋ねられると,「う〜ん,それはない」と答えてしまいそうな気がするのです。いや国産車だけでなく,輸入車にもこれといって欲しい車が見当たらない。こんなことを思っているのは私だけでしょうか。私だけじゃなかったとしたら…,それは全世界の自動車業界にとって,大変な事態が進行しつつあるのではないかと思うのですよ。

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