さらばCore2,さらばWindows10,さらばWindows11 Ver.23H2…。(2)
昨年12月から始まった長期連載の2回目となります。今回は64ビット対応されたCore 2と,それをベースにした各種CPUについて眺めてみたいと思うのですが,調べてみると,たった2〜3年の間に結構な数のCore 2系CPUがリリースされたことが分かったので,今回はまずプロセスルールが65nmのものをまとめてみることにしました。Wikipediaと,そこからリンクされるインテルのサイト,そしてリリース日は"TECHPOWERUP"のサイトに掲載されているものを参考にしました。この3つのサイトにきちんとした情報が上がっている機種のみをまとめていますので,これ以外の機種もあるのですが,大勢に影響はないと思いますので省略としました。
その前に,日本時間1月15日にリリースされたWindows Updateの情報から。
・Windows10 Ver.22H2…KB5049981 ビルドは19045.5371に
・Windows11 Ver.23H2…KB5050021 ビルドは22631.4751に
拙宅の環境では問題なくインストールできたようです。
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"Core 2 Duo"というCPUを発売する,とインテルが公表したのは2006年5月のことでしたから,もう19年近く前の話になるのですね。次いで同年7月末に具体的な製品を公開しました。デスクトップ版が,
・Core 2 Extreme X6800(2.93GHz)
・Core 2 Duo E6300(1.86GHz)/E6400(2.13GHz)/E6600(2.40GHz)/E6700(2.66GHz)
・Core 2 Duo E4300(1.80GHz)
全て2コアのCPUとなります。FSBは1066MHz。リリース直後に発売となったのは,高性能版のコードネーム"Conroe XE"版の"Extreme"で,それ以外は翌月の出荷となりました。
E型番で仮想化技術の"VT-x"が搭載されたCore 2 Duoはコードネーム"Conroe"と呼ばれていました。6600と6700が2次キャッシュ4MB版で,6300と6400は2次キャッシュが2MB分無効にされています。Extreme版は価格が10万円を超えるような代物でしたが,2次キャッシュ2MB版のCore 2 Duoは2万円台で購入することができたようです。ソケットはLGA775。後期のPentium4/Dと同じソケットですが,チップセットによってはCore 2が動作しないものもあったそうです。
Core 2 DuoのE4300はFSBを800MHzとし,"VT-x"を動作させないようにして価格を引き下げたものです。基本は"Conroe"の仲間なのですが,特別に"Allendale"と呼ぶこともあるようです。"VT-x"が使えるとWindows7のProfessionalで当初"XP Mode"を使うことができたのでした(その後"VT-x"のないCPUでも使えるようになった)。
そしてモバイル版が,
・Core 2 Duo T7200(2.00GHz)/T7400(2.16GHz)/T7600(2.33GHz)
・Core 2 Duo T5200(1.60GHz)/T5500(1.66GHz)/T5600(1.83GHz)
これらも2コア。FSBは一番安いT5200だけ533MHzで,他は667MHz。コードネームは"Merom"でした。T7系は2次キャッシュ4MB・"VT-x"有効版で,T5系は2次キャッシュが2MB・"VT-x"無効版となります。もちろん64ビット対応となります。
デスクトップ版は高発熱のPentium4/Dからの更新なので,消費電力は大幅に下がり性能はぐんと向上したのですが,モバイル版は従来の"Core Duo"から機能が追加された感じとなるので,消費電力は逆にやや増えてしまったとのことです。
モバイル版には,1コアの"Celeron( M)"も用意され,バリュークラスのノートパソコンで使われるようになりました。
・Celeron 530(1.73GHz)/550(2.00GHz)575(2.00GHz)
・Celeron ULV 573(1.00GHz)
530と550がFSB533MHz,575がFSB667MHzでした。ただ私が勤務していた当時の職場に入ってきたCeleronノートは先代の"Yonah"ベースのものばかりだったような覚えもあります。
ULV573というのはいわゆる超低電圧版のもので,TDPが10Wでした。
その年の11月には,4コア化したコードネーム"Kentsfield"のCPUがExtreme版で登場します。
・Core 2 Extreme QX6700(2.66GHz)
構造としては「Pentium4のコアを2個搭載したPentium D」と同様,Core 2 Duoのコアを2つ搭載したものになっています。先に登場した2コア版のX6800よりも若干クロック数が低いため,シングルコア用途なら2コアのX6800の方が高性能,とも評されていました。
明くる2007年。1月に待望の一般向け4コアテスクトップ版CPU,
・Core 2 Quad Q6600(2.40GHz)
が登場します。2コア向けのインテル965チップセットでも使えるようになった利点はあったのですが,この時点ではまだまだ高価なCPU でした。
モバイル用としては,低電圧版のCore 2 DuoとCeleronの改良版・低クロック版が追加されます。
・Core 2 Duo L7200(1.33MHz)/L7400(1.50MHz)
・Celeron 520(1.60GHz)/530(1.73GHz)
Celeron 530は,TDPが30Wから27Wに改良されました。
そして4月には,デスクトップ版が順に,
・Core 2 Duo E6320(1.86GHz)/E6420(2.13GHz)
・Core 2 Extreme QX6800(2.93GHz)
・Core 2 Quad Q6700(2.66GHz)
のようにリリースされます。E6320/E6420は2次キャッシュを上位モデルと同じ4MBに変更したもの,QX6800はQX6700の,Q6700はQ6600の,それぞれクロックアップ版,といったところでしょうか。
モバイル版にはCore 2 Duoの超低電圧版,
・Core 2 Duo U7500(1.06GHz)/U7600(1.20GHz)
も登場します。
そして,5月にはT7系や低電圧版のCore 2 DuoのFSBが800MHzに強化され,次のように追加されます。
・Core 2 Duo T7100(1.80GHz)/T7250(2.00GHz)/T7300(2.00GHz)/T7500(2.20GHz)/T7700(2.40GHz)
・Core 2 Duo L7300(1.40GHz)/T7500(1.60GHz)
T7100とT7300は2次キャッシュが2MBの低価格版となります。
次いで6月,デスクトップ向けに,"Conroe(Allendale)"系列の低価格CPUが一挙登場します。
・Pentium E2140(1.60GHz)/E2160(1.80GHz)
・Celeron 420(1.60HGz)/430(1.80GHz)/440(2GHz)
FSBは全て800MHz。この時点までデスクトップ版のCeleronはPentium4ベースで作られていたのですが,Core 2との性能差がかなり大きく(というか発熱がバカにならずCPUファンが常に全速回転,挙句数年後にCPUファンが目詰まりして突然クラッシュ,掃除機でCPUファンを掃除して解決,ということを当時何回もしていた覚えが),まずはCelelonの性能引き上げを行う必要があったとのこと。しかしシングルコア・シングルスレッドのCeleronだけでは,当時バリュークラスに高い性能のCPUを投入したAMDに対抗できないため,一旦封印した"Pentium"のブランドを再度登場させ(一時"Pentium Dual-Core"と名乗っていた),バリュークラスのデュアルコアCPUに仕立てたとのことです。
PentiumはAllendaleの2次キャッシュをさらに半減させて1Mとし,一方Celeronはシングルコアで2次キャッシュを4分の1の512KBとしました。Pentiumはともかく,CeleronがCore 2ベースになって高速化したといっても,当時のWindows Vistaはマルチコアかマルチスレッドでないとまともに動作しないような印象もあり,それがWindows Vistaの人気が高まらなかった原因だといっても間違いないでしょう。
7月は,デスクトップ版のCore 2に大きなテコ入れがなされます。
・Core 2 Duo E6540(2.33GHz)/E6550(2.33GHz)/E6750(2.66GHz)/E6850(3.00GHz)
・Core 2 Duo E4400(2.00GHz)/E4500(2.20GHz)
・Core 2 Extreme QX6850(3.00GHz)
E4系のCore 2 Duo(FSB800MHz)以外はFSBが1333MHzまで高速化されました。DuoのE6850とExtremeのQX6850はCore 2系列で初めて3GHz台のクロックとなりました。その一方で,従来のCore 2 Quad Q6600のFSBが105Wから95Wに低減され,扱いやすくなったと同時に,価格も一気に半額になり,クァッドコアブームの立役者となりました。
8月にはデスクトップ版のPentiumに高速型の,
・Pentium E2180(2.00GHz)
が追加されます。一方,モバイル版には,
・Core 2 Extreme X7800(2.60GHz)/X7900(2.80GHz)
が投入され,このCPUを搭載したゲーミングノートパソコンが作られるようになります。
これ以降12月末までに登場した,プロセスルール65nmのCore2系列のCPUは,デスクトップ版が,
・Core 2 Duo E4600(2.40GHz)
・Pentuum E2200(2.20GHz)
モバイル版が,
・Core 2 Duo T7800(2.60GHz)
・Core 2 Duo L7700(1.80GHz)
・Core 2 Duo U7700(1.33GHz)
・Core 2 Solo U2100(1.06GHz)…1コアだが"VT-x"を持っているので"Core 2"を名乗る。
・Pentium T2310(1.46GHz)/T2330(1.60GHz)…日本ではモバイル版の"Pentium"は,あまりお目にかからなかったような覚えが。
・Celeron 540(1.86GHz)/ULV 523(933MHz)
という状況でした。
そして,2007年11月末の"Core 2 Extreme QX9650"や,翌2008年1月のT8系やT9系の"Core 2 Duo"で,プロセスルールが45nmに切り替わるので,プロセスルールが65nmの"Conroe"や"Merom"は,バリュークラスの扱いに格下げとなるのでした。
2008年以降に登場したプロセスルール65nmのCPUをそれぞれ見てみると,デスクトップ版が,
・Core 2 Duo E4700(2.60GHz)
・Pentium E2220(2.40GHz)
・Celeron E1200(1.60GHz)/E1400(2.00GHz)/E1500(2.20GHz)/E1600(2.40GHz)…E1200はCeleron初の「2コア」CPU。
・Celeron 450(2.20GHz)
と登場し,2009年5月末をもって終息。モバイル版が,
・Core 2 Duo T5800(2.00GHz)
・Core 2 Solo U2200(1.20GHz)
・Pentium T2370(1.73GHz)/T3400(2.16GHz)…T3400はFSB667MHz
・Cereron T1600(1.66GHz)/T1700(1.83GHz)
・Celeron 560(2.13GHz)/570(2.26GHz)/585(2.16GHz)…585はFSB667MHz
と登場して,2008年末までに終息したのでした…。
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