さらばCore2,さらばWindows10,さらばWindows11 Ver.23H2…。(4)
昨年12月から始まった長期連載の4回目。Core2の話はとりあえず終了,続いて話はOSの方に移るわけですが,しかしここでも,Core2 CPUが活躍した,Windows VistaやWindows 7の話を駆け足でしておかなければなりますまい。というわけでまず今回は,「迷作」の方のWindows Vistaを取り扱うことにします。
その前に,日本時間3月12日にリリースされたWindows Updateの情報から。
・Windows10 Ver.22H2…KB5053606 ビルドは19045.5608に
・Windows11 Ver.23H2…KB5053602 ビルドは22631.5039に
拙宅の環境では問題なくインストールできたようです。
名作WindowsXPの次世代OSの開発は,まだWindows2000/Meが現役だった頃の2001年5月に始まったのだそうです。とはいうものの,Wikipediaによると,"Longhorn"と名付けられたその次世代Windowsは,もともとWindowsXPを大幅に改良した「マイナーアップグレード」として企画が始まり,2003年頃のリリースが予定されていたとのことです。しかし翌2002年春に,マイナーアップグレードでお茶を濁すのをやめ,2年後の2004年にメジャーアップデートにてリリースすることに変更されたとのことです。
そんな中発生したのが2003年夏のコンピュータウイルス,"Blaster"問題。Windows2000/XP(NT4.0/Server2003も)の脆弱性を利用して,感染したマシンから可能な限り他のマシンへの感染を試み続け,感染されたマシンは突然シャットダウン,または再起動されるようになってしまったそうです。
Windows Updateをきちんと行なっていた自宅のマシンには影響がなかったものの,職場(2005年まで勤務していたが,2023年に復帰)では,私を含む担当者が全マシンを手分けしてウイルスチェックし,結局何台か感染したマシンが見つかったので駆除をして,今と比べるとはるかに低速なネットワーク回線を使いWindows Updateをかけて正常化する作業を数日間続けたので,通常の業務が大きく滞った,といった経験をしたことがありました。
今あるWindowsXPの脆弱性を潰すため,マイクロソフトは人員の多くを,脆弱性を解消した"WindowsXP sp2"の開発にあてたのでした。その結果,次期Windowsのリリースはさらに遅れ,挙げ句それまで開発していたものをリセットして,次期Windowsを"Windows Server 2003"をベースに開発を進めることに変更,2005年6月にベータ1版が公開,そのひと月後に"Windows Vista"という名前を公表したのでした。
2006年の半ば頃,私の手元に届いた初めての"Windows Vista"はベータ2版でした。確か有償でインストールDVDももらうことができ,私も頼んだ覚えがあるのですが,それを待たずに,".NET Passport"のアカウントを使い,今となっては遅くなってしまった実質5MビットのADSL回線を使ってダウンロードし,Pentium4/2.53GHzの常用マシンにインストールした覚えがあります。
この時点で,「Windows Vistaはグラフィックスカードがないとまともに動作しない」という情報があったため,AGP接続のATI RADEON X1600pro搭載のグラフィックスカードを装着し,メモリも1GBに増強していました。Vistaの売りとなっていた「Aeroグラフィックス」も無事拝むことができました。
しかし,いくつかの周辺機器やソフトウェアが動作しない,という状況も起こりました。
・SCSIアダプタ(Adaptec AHA-2910)が動作しなかった。
・マザーボード上のオンボードシリアルATAが動作しなかった。
・Japanist2002を使用するとInternet Explorer7上で文字入力ができなかった(FMV-KB611はWindowsXP用ドライバを使い親指シフト入力自体はできた模様)。
・DVDオーサリングソフトが動作しなかった。
そして拙webを読み返すと,「なんとなく動作が緩慢な印象があった」とあります。そういえばこの頃は,お遊びで購入したはずのPowerPC版Mac miniを自宅での持ち帰り仕事用によく使っていたような印象があります。ベータ2版Vistaマシンでは,仕事にならなかったからなのかも知れません。
9月にはRC1版が公開され,動作も若干改善されていたようでしたが,なんとベータ2版では動作していたはずの一太郎8が動作しなくなっており(もっとも一太郎8はWindows2000/Me以降には正式に対応していない),「Windows Vistaは,内部が大幅に変更してしまうのだろうか」と戦慄を覚えたこともありました。
2006年末になり,Windows Vista HomePremiumへの無償アップグレード権がついた,WindowsXP Media Center EditionのOEM版がリリースされたのでハードディスクと一緒に購入しました。そのやり方は,添付された申込書と購入時のレシートを,なんとシンガポールまで海外郵便で送る,ということになっていて,インターネットで申込状況が確認できたとはいうものの,「COA確認に失敗しました」という不安を煽るようなメッセージしか表示されず,しかも2007年1月30日のWindows Vistaリリース日には間に合わないというお粗末さでした。
結局我が家にVista HomePremium(32bit)のアップグレード版が届いたのは3月も半ばになってから。メモリもさらに1GB増強して2GBとし,ハイパースレッディング対応のPentium4/3.06GHzに換装したことと,やはり製品版ということでベータ版やRC1版よりも安定して動いていたことから,それなりに快適だったとの記述が残っています。
ただ,あろうことかRADEON X1600proグラフィックスカードが突然不調になり,1ヶ月後にGeForce 7600GSグラフィックスカードを装着するまではチップセット内蔵グラフィックスで対応するしかなく,ご自慢のAeroグラフィックスは当然拝めず,XP時代には内蔵グラフィックスでも閲覧できたはずのGoogle Earthが見られなくなったのには参ってしまいました。
職場では2007年の秋ごろからVistaマシンが入ってくるようになりました。職場で使うのでVista Businessがインストールされているものの,シングルコアのCeleronで,当初はメモリも1GBの仕様で納入されていた(2008年頃納入されたものから2GBになった)ので,一応Aeroグラフィックスは拝むことができたものの,処理は遅そうな感じがあり,やはりVistaにはマルチコアかマルチスレッドのCPUが必要だと痛感したものでした。
そして2008年1月には,2005年に異動した職場に置いている私物パソコン(職場所有のパソコンを割り振る係をしていたので,一番最後に職場パソコンを貸与してもらうことにしていた)もWindows Vista化しました(Business)。この時初めて,Vistaではネットワークコンピュータの探索が遅い,という事実を知ったのでした。WindowsXPまでの「ブラウズマスタ」というやつも,コンピュータが表示されないことがあって結構泣かされたのですが,Vistaに搭載されたこの,"Link Layer Topology Discovery"というやつも結構曲者でした。このLLTDという機能,あくまでも家庭向けネットワークの機能となっていて(恥ずかしながら本記事をまとめる中で初めて知りました。出典…https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20071023/285275/)当時職場ではドメインの設定はなく,言ってみれば巨大な家庭向けネットワークといった感じだったので,それがネットワークパソコン探索スピードが遅い原因だったということなのでしょう。
Windows Vista初となるサービスパックの"1"は2008年3月リリースのようでした。上記Pentium4マシンにインストールした記録が残っているようですが,大きな感想は持たなかったような感じです。調べてみると,USBメモリ等の大容量シリコンディスクに対応できる"exFAT"ファイルシステムの導入や,上位エディションでのデータ暗号化機能"BitLocker"搭載,それにファイルコピーの高速化など,結構重要な機能の搭載や改善がなされていたようでしたが…。
そしてこのあたりから身の回りにVistaパソコンが増えていきます。家内のパソコンをCore2 DuoのDell Inspiron1525に更新したのがこの年の7月(拙ブログでは何度も書いているが,本機はWindows11 Ver.23H2をインストールしてなんと現有)。それまでのPentium4自作パソコンからCore2 Quad自作パソコンに更新したのがこの年12月。職場のパソコンが私有物から職場所有のCeleron 575搭載ノートパソコンに変わったのが翌2009年2月のことでした。
しかし2009年1月,組み立てたばかりのCore2 Quad機にリリースされたばかりのWindows7 ベータ版をインストール。ベータ版のため,大量のファイルを移動させようとして失敗させてしまい,いったんVistaに戻したのですが,5月にリリースされたRC版をインストールし,使用感がVistaに比べ格段によかったので,それ以降メインマシンでは一足早くWindows7に移行してしまったのした。
だから2009年3月にWindows Vistaのサービスパック2がリリースされたのですが,家内のInspironと職場から帰ってきたPentium4マシンにはインストールしたのですがあまり大きな印象はなかったです。職場のノートパソコンには職場の上位組織での検証が終わった8月にインストールでき,そこでようやく,ネットワークコンピュータのブラウズスピードが向上していたり,動作が若干きびきびしたり,という特徴を感じ取ったのですが,なにしろその頃の私は「早くWindows7がリリースされないかなぁ」という気持ちが大で,Vistaは正直どうでもよかったです。
そういえばこの頃の職場で,Windows Vistaのサービスパック2のインストールに失敗する,という事例もあったような気がします。それ以前にインストールされた更新プログラムが悪さをしていたのが原因で,それをアンインストールしてからサービスパック2をインストールするか,一度Windows Updateを再適用させてからサービスパック2をインストールする必要があったとのことです。
話は前後するのですが,2008年頃にヒットした商品が,ASUSのEeePCをはじめとした,インテルの低消費電力CPU"Atom"を搭載した「ネットブック」タイプのノートパソコン。Windows VistaよりもWindowsXPの方がこれらのマシンではまともに動作するため,とうとうマイクロソフトは本来2008年6月で終了する予定だったWindowsXPのプレインストールを「ネットブック」に限り当面認める,という苦渋の決断をするしかありませんでした。
Core 2機を中心として,ある程度のCPU性能とグラフィックス性能があればそれなりに使えたWindows Vistaだったのですが,当時はシングルコアで,内蔵グラフィックスもあまり性能が高くない新品パソコンも多数発売されていたのが現状で,マイクロソフトの高い理想は分かるが実際に使用する上での細かいトラブルも多く,全体としてめんどくさいOSだったのがWindows Vista,という印象が強いです。
Windows7は2009年10月にリリース。家中のWindows Vistaパソコンは全てWindows7に移行してしまい,あっという間に我が家からWindows Vistaは駆逐されてしまいました。職場では引き続きCeleron搭載Vistaノートを使用していたのですが,それも2013年夏(その頃はすでにWindows8の時代だ),ひょんなことからWindows7機に移行することとなり,私の身の回りから完全にWindows Vistaはなくなってしまったのでした。
Windows Vistaのサポート終了は2017年4月11日と,もうかなり昔の話だと思っていたら,実は本記事アップ時点でまだ8年に達していません。
しかし,例えばアドビは2012年10月リリースの"Adobe Reader XI"でWindows Vistaには対応しないと公表し(強引にインストールすることは可能だった),Vistaで使用可能だった"Adobe Reader X"も2015年10月でサポート終了させてしまう,という状況でした。
つまり,マイクロソフトとしてはきっちり10年,Windows Vistaをサポートしたつもりだったのですが,アドビのようなアプリメーカーの,露骨なVista外しの影響により,2017年より早くWindows Vistaは抹殺されてしまった,というのが実情だったのでしょう。2014年のWindowsXPのサポート終了,2020年のWindows7サポート終了,そして今年10月に予定されているWindows10のサポート終了に比べ,Windows Vistaのサポート終了がほとんど騒がれなかったのは,そういう事情もあったのだろうと思います。
| 固定リンク
« さらばCore2,さらばWindows10,さらばWindows11 Ver.23H2…。(3) | トップページ | Skylake(Kaby lakeも),なんと今ごろ製造終了。しかし問題は意外なところに…。 »
「うぃんねた」カテゴリの記事
- さらばCore2,さらばWindows10,さらばWindows11 Ver.23H2…。(12)(2025.11.13)
- さらばCore2,さらばWindows10,さらばWindows11 Ver.23H2…。(11)(2025.10.15)
- さらばCore2,さらばWindows10,さらばWindows11 Ver.23H2…。(10)(2025.09.10)
- Windows11の標準機能で,QRコード,読めるみたいですけど…。(2025.09.07)
- さらばCore2,さらばWindows10,さらばWindows11 Ver.23H2…。(9)(2025.08.13)



コメント