さらばCore2,さらばWindows10,さらばWindows11 Ver.23H2…。(6)
長期連載はや今回は6回目となりました。OS編の3回目は,ふたたび「迷作」の烙印を押されることになったWindows8と8.1を取り扱っていきます。
その前に,遅くなりましたが日本時間5月14日にリリースされたWindows Updateの情報から。
・Windows10 Ver.22H2…KB5058379 ビルドは19045.5854に
・Windows11 Ver.23H2…KB5058405 ビルドは22631.5335に
拙宅の環境では問題なくインストールできたようです。
Windows7がメインストリームにあった2009年から2012年にかけて,PCの世界では,インテルのCPUがCore2からCore iに変わったりとか,OSの起動ドライブとしてハードディスクからSSDへの移行がぼちぼち始まったりなどと,それほど劇的な変化はなかったような気がします。
しかしこの3年で,モバイル関係の機器は大きな変化を迎えることになります。2007年にアップルから登場した,タッチパネルで操作する携帯電話"iPhone"がリリース,2008年には日本でも発売され徐々に大きなうねりとなります。このような携帯電話を「スマートフォン」と呼ぶようになるのですが,Googleもこのスマホ用のOS"Android"を開発して,自社ブランドだけでなく多くのメーカーにOSを供給して,2010年にはiOSのシェアを追い抜いてしまいます。
その2010年,画面サイズ10インチ程度で,"iOS"で動作するタッチパネル操作のタブレット"iPad"がリリースされ,さらにAndroid陣営からも同様なタブレット端末が多数登場することになり,その煽りを受けて,せっかく立ち上がったAtom搭載Windowsネットブックの市場は壊滅状態に陥ってしまったのでした。
Wikipediaによると,そこでWindows7の次期バージョンでは,パーソナルコンピュータだけでなく,タブレットやスマートフォンでの利用も考えたものにしなければならない,ということになってしまったのだということてす。具体的には,
・他社のタブレット・スマホ用UIのように,「タッチしてアプリを起動する」ことを考慮し,「タイル」をタッチして操作する「メトロUI(のちにモダンUIと言い換えられる)」の導入。
・従来のWindows向けに開発された「デスクトップアプリ」も動作するが,"Windowsストア"からダウンロードし,起動すると全画面で起動する「モダンUIアプリ(これもWindowsストアアプリ,さらに略され「ストアアプリ」と称するようになる)」の導入。
が大きな変化となり,その他Internet Explorer10の搭載や「タイル」という概念を導入した新たなスタート画面,そしてWindows95以来親しまれた画面左下の「スタートボタン」と,そこをクリックして表示される「スタートメニュー」の廃止など,それまでのWindowsとはいろいろな部分が大きく変更された,"Windows8"のディベロッパー・プレビュー版がリリースされたのが,2011年9月のことでした(この時点で"Windows8"という呼称はまだ開発コードネームの段階だった)。
Core2 Quad Q8200搭載の自作機に,「モービルラック」を取り付け,それまでのWindows7がインストールされたハードディスクと,このディベロッパー・プレビュー版Windows8がインストールされたハードディスクを取っ替え引っ替えして試用してみました。この時点では,「使い勝手が大きく向上したかというと,そんな感じはあまりない」と感じていたようでした。
なにしろそれまで16年に渡り使っていた「スタートメニュー」のアイコンがなくなり,その「スタートメニュー」を出すにはどうするかというと,画面左下にマウスカーソルを移動して表示された「スタートスクリーン」のアイコンをクリックするか,画面右上にマウスカーソルを移動して「チャーム」を表示し,その「チャーム」に表示された「スタート」をクリックするしかない,といった状況で,慣れればともかく,非常に使いにくい印象がありました。そしてそのスタートメニューは,Windows7までのそれや,後のWindows10以降のそれと違い,全画面表示されるのも戸惑ったものでした。全画面スタートメニューはスマートフォンやタブレットを意識したのは明らかで,タッチ操作なら使いやすかったのかも知れないけど,マウス操作では問題の多いユーザインタフェースだったような気がします。
そうだ電源を切るにも,その「チャーム」を出し,チャームバーの一番下の「設定」をクリックし,そこに表示されたオプションの「電源」から「シャットダウン」をクリックする,という,直感的な操作からは程遠い操作を強いられたのでした。
翌2012年4月に"Windows8"が正式名称になったと公表。7月にはそのWindows8が10月下旬にリリースされると公表されました。そういえば,タッチ操作対応で,ARMアーキテクチャ版の"Windows RT"をリリースする,と公表されたのもこの頃でしたっけ。
私の記録によると,Enterprise版の90日評価版がリリースされたのが8月ごろで,これを前述のCore2 Quad機に入れて使ってみていました。上記「モービルラック」で取っ替え引っ替え使用すると,Core2 Quad機に固定して装着しているデータ用のハードディスクに保存されたファイルの所有権が,OSの入ったドライブを取り替えるたびに大幅に書き換えてしまうことがわかったのでした。そこでこのCore2 Quad機でのWindows7の使用を停止し,別の中古マシンを導入してそちらの方でWindows7を使用することとしたのでした。
その他一部の周辺機器のドライバインストールに往生したり,Internet ExplorerでYouTubeを見ると高い確率でハングしたりということが頻発し,Windows8はかなり大掛かりなアップデートになっているであろうということと,そのために実際にリリースされた時,多くのトラブルが待ち構えているのではないか,という心配も覚えたものでした。
さらにWindows8では,Windows7にあったVirtualPC利用の「XPモード」が廃止になることが分かり,一方で"Hyper-V"を利用した仮想環境が構築できる,ということが分かったので,Intel VT機能を持つXeonに換装したのですが,Windows8の"Hyper-V"は,インテルで言えばCore i系のCPUに搭載された「SLAT機能」が必要であることが分かり,Core2系のCPUではそれが使えない,ということに大きく落胆したのでありました。
Windows8は2012年の10月下旬にリリースされました。当時ダウンロード版で3300円のProアップグレード版がありました。当時Windows8のEnterprise評価版を使っていたXeon機に入れようとしたのですが,もちろん正式版へのアップグレードはできないことは当時知っていたけれど,購入手続きをしようとして購入サイトに行くと「アップグレード・アドバイザー」というソフトをダウンロード・インストールさせられてマシン環境をチェックされ,「評価版が入っている」とのことで購入手続きすらできないといった状況でした。
したがって,当初は導入を考えていなかったCore Solo搭載のモバイル機を先行してWindows8化することにしました。上記「アップグレード・アドバイザー」では画面の解像度が低い(1366×768ドット以上推奨)ことと,セキュアブートができないこと(こんな頃からWindows11への布石が打たれていたのか)を指摘されたのですがアップグレード自体は不可能ではなかったのでそこで購入手続き,プロダクトキーが表示され,CPUに対応したインストールファイルがダウンロードされ,そのままアップグレードするか,インストール用USBを作るか,isoファイルを作成するか,という流れになったのでした(結局isoファイルからDVDを作成してカスタムインストールした模様)。
Xeon機にも後日,以前使用していたWindows7のシステムディスクに入れ替えて上記手順によりアップグレードを行ったのでした。子供用に使っていたCore 2機にも,一応「アップグレード・アドバイザー」をかけてWindows8の購入手続きをとったのですが,この時点ではアップグレードせず,Windows7のまま使用し続けることとしました。
この頃F-07CというWindows7が搭載された携帯電話を持っていたのですが,それにもWindows8を導入しようとして,DSP版の無印(Pro版ではない,という意味)Windows8を購入(Windows8ではDSP版はパーツバンドルでなくても購入できた)してインストールしたところ,DSP版ではその機種固有のドライバが全くインストールされないという極悪仕様のため,タッチパネルが使えないというトラブルに見舞われたのでした。やむなく3300円のProアップグレード版を購入。あれ?確かアップグレード版の購入は1人3本までだったらしいのですが,どうやってそのトラップを回避したのか,今となっては分かりません。
スタートボタンのなくなったWindows8。今で言う,「ストアアプリ」への移行が進むのかも思ったのですがそのようなことはなく,依然として通常のデスクトップアプリばかり使っている状況でした。馬鹿でかいスタート画面や,何をするにも「チャーム」をマウス操作で呼び出さなければならないというのは,やはり不便だった印象があります。
「F-07Cでタッチパネルが動作しない」件もそうだったのですが,WindowsXP時代のソフトである「一太郎2006」がWindows8では動作しませんでした(Windows7から動作要件対象外だったのだが,Windows7では動いていた)。今回のWindowsは結構内部に大きく手を入れられているのかとも感じました。
そんな,鳴り物入りで登場したはずのWindows8でしたが,半年ほど経った2013年春には"Windows Blue"という新しいWindowsの噂が出回るようになり,やがてそれは"Windows8.1"というアップグレードになる,という確かな情報になったのは5月のことでした。
リリースされたのは10月のこと。Windows8.1は,Windows7までで言えばサービスパック扱い,Windows10/11で言えばそれぞれの"Ver.****"にあたるものと考えられ,無償でアップデートできるが,これを適用しないとサポートが延長されない,というものでした。
アップデートの仕方も独特でした。アップデートのためには今で言う「マイクロソフトストア」のアプリから始める必要があり,ダウンロードからインストールまで自動的に行われます。また,何もしなければこの過程でローカルアカウントから強制的に「マイクロソフトアカウント」に移行される(回避方法あり)のも凶悪な印象がありました(これも将来のWindows11への布石か)。アップデートした後の標準の壁紙はなんと黄色。目が痛くなるような配色でふざけているのかと思いました。画面左下のスタートボタンが復活したものの,出てくるスタート画面は依然として全画面を使用するため(その上「設定」など,「チャーム」の操作が必要な場面も残っている)使い勝手はあまり向上しない感じもしました。その他環境を入れ替えるたびに動かして楽しんでいた「エクスペリエンス・インデックス」もなくなってしまい(測定のしくみ自体は残っている),改良どころか改悪点も多いような気がしました。
実はこの時点では気がついていなかったのですが,Windows8.1では,32ビットCPUはともかく,一部を除く64ビットPentium4が,64ビット版Windows8.1では動作しない,というCPUの足切りがなされていたのでした(Windows10のベータ版を入れようとしてようやく気がついた)。ただ,従来のWindows8も2016年1月12日までと,Windows8.1リリースから2年と少しほどサポートが続いていたため,Windows11のVer.24H2で足切りされたCore 2機のことを思えばまだ当時は寛大な処分だったようにも,今となっては思います。
その後2014年4月に,このWindows8.1の"Update"と呼ばれる大幅な修正プログラムが公開され,ここでスタートメニューに「電源」アイコンが追加,これまでと同じように「スタートボタンをクリックして,電源を切る」という操作が,ここでようやく可能になったのでした。また,サインイン後すぐにデスクトップ画面が表示できるようにもなりました。結局,Windows8で取り入れた数々の新機能は「改悪」であったと,マイクロソフト自身がここでようやく認めた,という形となったのでした。
Windows8はUEFI環境でなくても起動が早く,アプリの動作が遅くて困るようなこともなく,実はそこそこ優秀なOSだったのかも知れません。しかしタッチ操作のことを考慮しすぎたユーザインタフェースはやはり使い勝手が悪く,8.1→8.1Updateと改良,もとい操作性を旧来のものに戻すようなことをしたからと言って,Windows7からの置き換えはほとんど進まなかったのでした。
ARM系のCPUと専用のWindowsである"Windows RT"を搭載したマイクロソフトの"Surface"も,一般に認められるようになったのはインテルのAtomを搭載してからのこと。X86/64アプリの動かない"Surface"はやはり見劣りがしたものでした。
だから2014年の10月にWindows"10"のテクニカル・プレビュー版が登場した時にはかなりの期待をしましたし,そのWindows10がWindows8/8.1どころかWindows7もアップデート可能,しかもその費用は2016年7月まで「無料」と案内されたのですから,あの頃は本当にマイクロソフト社が「菩薩」のように見えたものでした。2015年7月末にWindows10がリリース。我が家でも可能なマシンは全てWindows10化してしまい,Windows8.1はこのタイミングをもってきれいさっぱりなくなった,と思っていたのでした。
それから4年8ヶ月強。異動した先で,まさかWindows8.1機をあてがわれるとは,思いもよりませんでした。そこから1年半,そのWindows8.1機を使い倒し,Windows8.1の使いにくさを追体験することとなったのでした。
あ,悪いことばかりではありませんでした。Windows8.1機を使っていた期間中,「Windows10のバージョンアップがあったので更新してください」という職場のICT担当の職員からの呼びかけがあっても,「あ,私の使っているマシンはWindows8.1ですから」と,高みの見物ができたことについては「よかったこと」ということにしておきましょうか。
そのマシンも2021年10月にはお別れをし,Windows8.1も,一昨年の2023年1月には,めでたくサポート終了とあいなったのでした…。
ずいぶんお待たせしました。いよいよ次回から"Windows10"編となります。
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