マイクロソフトは,クアルコムに何らかの弱みでも握られているのだろうか…。
「今後80TOPSのNPUが必要になる」んだそうです。え?一昨年はその半分の「40TOPSのNPUが必要」って言ってなかった?
クアルコムが1月5日にCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で新SoC"Snapdragon X2"について説明,低消費電力化と,内蔵GPUやNPUの強化を図った,と述べたとのことです。
で,「NPUに80TOPSの性能が必要」だと言ったのはクアルコムではなくなんとマイクロソフト。なんでも「Outlookのメール要約」機能のためには80TOPSのNPUが必要なんだとか。
しかし2年前には「Copilot +のためにはNPUは40TOPSが必要」と言っていて,そのCopilot +に搭載された機能のブラッシュアップがほとんど進んでいない,というのに,2年後の今はいきなり2倍の「80TOPS」と言っているのがなんとも解せない。
そして,確かに"Snapdragon X2"のNPUの性能は80TOPSを達成したかも知れないけど,x86/64系のインテルやAMDの新SoCはまだまだ50TOPS台にとどまっているという状況。なぜにマイクロソフトはインテルやAMDをけなしてまで,クアルコムに肩入れをするのか。ひょっとすると,マイクロソフトはクアルコムに何か弱みを握られているのではないだろうか。
まぁ,マイクロソフトにしてみれば,AppleのMacがインテルアーキテクチャからARMアーキテクチャに移行して成功を収めている状況をだまって見てはいられない,というところなのだろうと思います。実際,ARM上のWindowsは,Appleシリコン搭載のMac上でParallels Desktopによる仮想環境で動かしてもかなり素性がよく,おそらく"Snapdragon"上であればARM版Windowsがネィティブに動くわけですから快適でしょうし,消費電力も少ないことでしょう。だからマイクロソフトはクアルコムに三顧の礼を尽くしている,というところなのでしょう。
しかしそれではx86/64にべったりのパソコンメーカーやユーザはたまったものではありません。
本記事の冒頭に紹介したのはインプレスの"PC Watch"の記事でして,同じCESで1月5日に報道発表を行ったDellについて,「『XPS(Dellのゲーマー向けブランド)』が帰ってきたぞ!」と紹介しているのですが,実はもっと重大な発表をしているのに,"PC Watch"や他の国内パソコン系情報サイトはそれにしらんぷりを決め込んでいたので,私も知らずにいてしまったのでした。
最近そのような情報はYouTubeで最初に見かけることが多くなったのですが,Dellの製品責任者がCES直前のwebのインタビューで,「消費者はAIを基準にPCを購入していない」と答えたのだとか。DellはCopilot+ PCの生産をやめたわけではなく,そのことをセールスポイントの一番に据えないようにしたとのこと。だからゲーミングブランドの「XPS」を復活させたということなのだそうです。
つまり「AIを基準にPCを選んでいない」からDellは「XPS」を復活させたということであり,そのあたりの文脈があいまいな記事を書いた日本のパソコンメディアは,やっぱりマイクロソフトに首根っこを押さえつけられているのだろうかと思ったのでありました。
それはともかく,Windows11に対するマイクロソフトの強引な姿勢をみるとかえって,Windowsは相当な逆風の中にいるのではないかと,つい勘繰ってしまうのでありました。
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